今月の原価率が、締めたあとに跳ね上がる|まだ届いていない仕入を、その日のうちに見込む

今月の原価率が、締めたあとに跳ね上がる|まだ届いていない仕入を、その日のうちに見込む

【結論】
原価率がはっきりするのは、請求がそろって、棚卸をして、締めが終わったあとです。ところが打てる手は、その前にほとんど終わっています。TEAL BIの管理テーブルの「仕入」は、店舗×日付で当日の仕入額と月度の累計を並べ、そこにまだ受け取っていない仕入を別の列で足します。要点は、いまの原価率と、それが入ったあとの原価率を、同じ行に並べること。「月の途中は良さそうに見えていたのに、締めたら跳ねた」が起きにくくなります。

【この記事でわかること】
・月の途中の原価率が、あとから上がる理由
・まだ受け取っていない仕入を「原価率の何ポイント分」として出すやり方
・何を原価に入れるかを、会社ごとに決める仕組み
・仕入の予算を、金額ではなく率で置く理由
・料金と、実際に本番稼働している連携先の一覧

「今月の原価率」を聞かれて、答えられるのは翌月ですか

原価率は、締めてからではなく積み上がる途中で見る

いまの状態

請求がそろうのを待ってから確かめる

  • 月の途中は、感覚でしか言えない
  • 低めに出ていても、理由が分からない
  • 分かった時には、その月は終わっている
TEAL BI

当日ぶんと累計が、毎日積み上がる

  • 店舗×日付で、当日の仕入額と累計が並ぶ
  • まだ受け取っていない仕入が別の列に出る
  • 区分ごとの仕入率が、そのまま列になる

月の途中の原価率が当てにならないのは、集計が粗いからではなく、まだ入っていない仕入があるからです。

図1:請求がそろうのを待つ状態と、当日ぶんが毎日積み上がる状態の違い。

エリアマネージャーの方が、担当店舗を回りながら「今月そっちの原価率どう?」と聞く場面を思い浮かべてください。店長から返ってくるのは、たいてい「先月は◯%でした」です。今月の話をしているのに、答えは先月のものになります。悪気があるわけではなく、今月の数字を出す手立てが店舗側に無いだけです。

仕入は、レジの売上と違って毎日きれいには入ってきません。業者ごとに納品のタイミングが違い、請求は月にまとまって届きます。だから多くの会社で、原価率は「請求がそろって、棚卸をして、経理が締めてから確かめるもの」になっています。

これは正確さの話であって、間違ってはいません。問題は速さではなく順番です。原価率が高かったと分かるのは翌月で、そのときに打てる手はもう次の月に対してのものになります。仕入の量を落とす、ロスの出やすい仕込みを見直す、値付けを変える——どれも、その月のうちに気づいていれば、その月に効いた手です。

月の途中の原価率が低めに出るのは、まだ届いていない仕入があるからです

月の途中で原価率を出すと、たいてい実態より低く出ます。これには理由があります。仕入のデータは、受け取った時点で計上されるためです。発注も出荷も済んでいて、あとは入るだけ、という分は、まだ数字に入っていません。

TEAL BIはこれを、「未受領」として別に持っています。出荷済みだがまだ受け取っていない金額を、受領済みの仕入額とは分けて保持していて、画面には「これが入ると、原価率が何ポイント上がるか」という形で出します。金額のままではなく、売上に対する率で出すところが要点です。原価率と同じものさしに乗るので、いまの原価率にそのまま足せます。

もうひとつ、月の途中の数字が動く理由があります。仕入は納品日で計上されます。画面のヘルプにも、そのまま書いてあります。

仕入は納品日で計上されるため、月末に大きく仕入れた月は高めに出ます。

月末に翌月ぶんをまとめて入れれば、その月の原価率は上がります。使ったかどうかではなく、入ってきたかどうかで並んでいるからです。これは欠点ではなく、そういう数字だと分かって見るための前提です。「先月より上がった」の中に、この2つ——未受領と納品のタイミング——がどれくらい混ざっているかを分けられるようにしてあります。

「いまの原価率」と「入ったあとの原価率」を、同じ行に並べます

同じ日の原価率が、2つある

受領済みだけ

いま画面に出ている原価率

  • 受け取った仕入 ÷ 売上
  • 月の途中では低めに出る
  • これだけ見て「余裕がある」と判断してしまう
未受領を足したあと

入ったら、こうなる原価率

  • 受領済み + 出荷済みでまだ届いていない分
  • 予算の率と、この値で比べる
  • 締めたあとに跳ねる分を先に見ておける

未受領ぶんを売上に対する率で出しているので、いまの原価率にそのまま足して読めます。

図2:受領済みだけの原価率と、未受領を足したあとの原価率。

表は店舗と日付で1行です。左から順に、その日に入った仕入額、月度のはじめからの累計、それを累計売上で割った率、そして未受領ぶんの率が並びます。合計の行を見に行かなくても、行の中で完結します。

列 中身
当日仕入額 その日に受け取った仕入の金額(税抜)
仕入額累計 月度のはじめからその日までの合計
仕入実績/売上 仕入額累計 ÷ 累計売上。いま出ている原価率
未受領残 出荷済みでまだ受け取っていない分 ÷ 累計売上。入ったら原価率がこの分だけ上がる
仕入予算 設定した仕入予算率から計算した、その時点の予算額
差異 予算に対して、金額でいくら/率で何ポイント離れているか

売上は値引後・税抜、仕入も税抜でそろえています。売上が0の日は率を計算せず、「-」と表示します。0%と出して、原価がかかっていないように見せることはしません。月度は締め日の設定に従います。20日締めの会社であれば、8月21日から9月20日までが1つの月度として累計されます。

何を原価に入れるかは、会社ごとに違います

仕入のデータには、請求のときに付いている科目名・補助科目名がそのまま入っています。ここが、会社ごとにかなり違います。同じ「食材の仕入」でも、会社によって呼び名が違い、同じ会社の中でも表記が揺れています。そして、その並びの中に消耗品や備品が同じ顔で混ざっています。

TEAL BIは、これを寄せません。お使いの科目名をそのまま一覧にして、「原価に入れるもの」にチェックしてもらう作りにしています。設定画面には、こう書いてあります。

インフォマートの請求データに付いている科目名・補助科目名を、そのまま一覧にしています。仕入原価に算入するものにチェックを入れてください。チェックした名称が、そのまま仕入の内訳として表示されます。

名前を統一していただく必要はありません。決めるのは「どれを原価に入れるか」だけです。消耗品や備品を外しておけば、原価率の計算から自動で外れます。画面にも「原価に算入しない区分(備品・消耗品など)として設定された科目は除いています」と出るので、あとから見た人が、何を入れて何を外した数字なのかを取り違えません。

設定を変えられるのは管理者権限を持つ方だけです。原価率の定義そのものを決める設定なので、店舗側の操作で数字の意味が変わることはありません。

フードとドリンクを分けて見る、を列でやります

区分を登録すると、その区分ごとに列が3本ずつ増えます。その日の金額、月度の累計、そしてその区分だけの仕入率です。フードとドリンクを分けている会社なら、フードの仕入率とドリンクの仕入率が別々の列として毎日並びます。

これは細かい話に見えて、打ち手が変わるところです。原価率が上がったとき、フードが上がったのかドリンクが上がったのかで、次にやることは別です。合計の原価率だけを見ていると、この2つが打ち消し合って「変わっていない」に見えることもあります。

区分の数に決まりはありません。フード・ドリンクの2つでも、もっと細かく分けても構いません。まだ何も設定していない場合は、全科目の合計がそのまま仕入額として表示されます。設定していないと使えない、という作りにはしていません。

仕入の予算は、金額ではなく率で置きます

仕入の予算は、「今月は◯◯円まで」ではなく「売上の◯%まで」という形で登録します。画面に出る予算額は、そこから毎日計算されます。その時点の累計売上に、設定した率をかけたものです。

この置き方には理由があります。売上が伸びれば、仕入も増えて当たり前だからです。金額で予算を置くと、売れた月ほど「予算オーバー」になり、売れなかった月ほど「予算内」になります。率で置いておけば、予算額のほうが売上に合わせて毎日動くので、比べているのが「使いすぎたかどうか」だけになります。

差異の列は2本あります。金額でいくら離れているかと、率で何ポイント離れているかです。率のほうは、未受領ぶんまで入れた原価率と予算率を比べます。いま出ている数字ではなく、入ったあとの数字で予算と突き合わせる、ということです。

毎日、店舗と本部で何をするのか

何もしません。仕入のデータは夜間に自動で取り込まれます。店舗が仕入を入力する工程はありませんし、本部で集計を実行する操作もありません。画面を開いたときには、前日ぶんまでが入った状態になっています。

画面ですることは、期間と絞り込みを決めるだけです。期間ははじめから当月が入っていて、締め日を設定していれば月度に合わせて入ります。店舗の絞り込みは、業態やエリアといった区分でも指定できます。表示している内容は、そのままCSVとExcelに落とせます。ファイル名に日時が自動で付くので、毎日保存しても上書きされません。

見える範囲は、その方の担当範囲に従います。店舗を担当している方には担当店舗ぶんが、エリアを担当している方にはそのエリアぶんが並びます。役職や担当範囲に応じた見せ分けができ、そのことで料金が変わることはありません。

実際に本番稼働している連携先

この画面の仕入は、請求データの連携がそのまま元になっています。連携先はいま毎日データが流れているものだけを「本番稼働中」とし、そうでないものは分けて出します。仕入の欄が「本番稼働中」になっているかどうかが、そのまま「この表が出せるかどうか」です。

区分 連携先 状況
POSレジ 東芝テック/スマレジ/USENレジ/NECモバイルPOS/ポスタス(POS+) 本番稼働中
ローズシステム/寺岡精工/funfo/Chompy(モバイルオーダー) 本番稼働中
ステアリテール(FoodFrontia Pro)/グローリー/リブオン(宅配Evolution)/ダイニー 接続対応中
予約・口コミ TableCheck/Googleビジネスプロフィール/Instagram
※Instagramは一部の企業様で稼働中です
本番稼働中
トレタ/エビカ 接続対応中
仕入 インフォマート 本番稼働中
メニューPlus(レシピ) 接続対応中
勤怠・人事 ジョブカン/King of Time/タッチオンタイム/SmartHR 本番稼働中
外部データ 気象データ(全国・時間帯別) 本番稼働中
上記以外 ネットワーク未接続の店舗を含む CSVアップロードで統合対象に含められます

よくある誤解

「原価率は締めてから確認するものなので、途中の数字は要りません」

確認するだけなら、そのとおりです。締めたあとの数字は正確で、そこに疑いはありません。ただ、締めたあとに分かることは「先月がどうだったか」だけです。仕入の量を落とす、仕込みを見直す、といった手はその月のうちにしか効きません。月の途中の数字は、締めの数字を置き換えるものではなく、締めを待たずに手を打つためのものです。両方あって困ることはありません。

「まだ届いていない仕入まで見るのは、経理の仕事では」

支払いの管理としてなら、そのとおりです。ただ、この画面が出しているのは「原価率が何ポイント上がるか」であって、支払いの残高ではありません。店舗の判断に効くのは、後者ではなく前者です。いまの原価率が予算の中に収まっていても、未受領ぶんを足すと超えている、という状態は普通に起きます。それを月末に知るか、その日に知るかの違いです。

「区分の設定が面倒そうなので、うちでは回りません」

設定するのは一度だけで、しかもお使いの科目名の一覧から選ぶだけです。名前を新しく決めていただくことも、店舗ごとに揃えていただくこともありません。設定しないまま使うこともできます——その場合は全科目の合計が仕入額として出るだけで、画面が止まることはありません。区分を分けたくなった時点で、あとから足せます。

料金と、導入までの流れ

TEAL BIの料金は1店舗あたり月額8,000円(税抜)だけです。初期費用・導入費用・連携費用はいただいていません。この記事で挙げた仕入の表と、区分の設定、仕入予算の登録、CSV・Excelでの保存も、この料金に含まれます。オプション料金という考え方をしていません。

導入の流れは、いまお使いのPOSレジ・勤怠システムの構成をお聞きするところから始まります。すでに接続実績のあるものであれば、やり取りは短く済み、約1週間で稼働を開始できます。掲載していないものが混ざっている場合も多くは連携可能で、その際はメーカー様との打ち合わせのうえ新規の連携開発を行います。期間の目安は1か月程度です。いずれの場合も月額8,000円のままで、連携のための費用はいただきません。

画面と機能をひととおりご覧になりたい場合は、サービス紹介資料(全10ページ)をご請求ください。フォームのご入力後、その場でダウンロードいただけます。

よくあるご質問

Q. この原価率は、いつの時点の数字ですか?

受け取った仕入を、その時点までの売上で割った数字です。月度のはじめから前日ぶんまでが入っています。期末の棚卸で在庫の増減を反映させた数字とは、目的が違います。あちらは結果を確定させるためのもの、こちらは月のうちに気づくためのものです。置き換えるものではないので、締めの数字はこれまでどおりお使いいただけます。

Q. 「まだ受け取っていない仕入」は、どうやって分かるのですか?

請求データの中で、出荷が済んでいる分と、受け取りが済んでいる分が別々に届いています。TEAL BIはこれを別の金額として保持していて、受け取り済みのほうを原価率に、まだのほうを「未受領」の列に出します。店舗や本部で入力していただく必要はありません。あとから受け取りが済めば、翌日には原価率の側に移ります。

Q. 仕入の科目が細かく分かれています。そのまま使えますか?

そのまま使えます。いまお使いの科目名・補助科目名がそのまま一覧に出ます。そこから原価に入れるものを選んでいただくだけで、名前を統一していただく必要はありません。数が多くても、原価に入れる区分としてまとめれば、表の列は増えすぎません。消耗品や備品のように原価から外したいものは、チェックを外すだけで計算から抜けます。

Q. 区分を設定していないと、使えませんか?

使えます。設定していない場合は全科目の合計が仕入額として表示され、区分別の列だけが出ない状態になります。画面にも「まだ仕入区分が設定されていません。仕入額は全科目の合計を表示しています」と出るので、いま見ているのがどちらの状態なのかが分かります。まず全体を見てから、分けたくなった時点で設定していただく形で構いません。

Q. 市場や現金で買った仕入も入りますか?

この表に入るのは、請求データとして連携されている仕入だけです。市場での現金仕入のように、その経路を通らないものは含まれません。含まれないものを「入っている」と見せないようにしているので、表の数字と請求の金額はそろいます。現金仕入の比率が大きい業態では、その分を差し引いて読んでいただく形になります。

Q. 仕入の予算を登録していない場合はどうなりますか?

予算と差異の列が「-」になり、当日仕入額・累計・仕入率・未受領はそのまま使えます。0円と表示して未達に見せることはしません。予算は金額ではなく率で登録するので、店舗ごとに毎月の金額表を作っていただく必要はありません。売上が動けば、予算額のほうが自動で追随します。

Q. 店長に見せると、他店の数字まで見えてしまいませんか?

見えません。この表はその方に許可されている店舗だけを対象に集計します。担当店舗を持つ方にはその店舗ぶん、エリアを担当する方にはそのエリアぶんが並びます。合計や率も、見えている範囲だけで計算されます。他店の数字が合計の中に混ざって見える、ということもありません。

TEAL BIについて

TEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。複数の飲食企業で本番稼働しています。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。

御社では仕入の科目を、いくつに分けて管理されていますか。そして、原価に入れないものはどれですか。この2つをお聞かせいただければ、いまお使いの科目のまま区分に写せるかどうかを、先にお返しします。仕入の予算を率で置いているか、金額で置いているかも、あわせて伺えると確実です。

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「棚卸をするまで在庫が分からない」を終わらせる:レシピ・仕入・販売を1本の線でつなぐ

執筆:斉田 教継((株)ラックバッググループ / (株)ティールテクノロジーズ 代表取締役)
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」の事業を主導する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。

投稿者プロフィール

斉田 教継株式会社ラックバッググループ 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
斉田 教継(さいだ のりつぐ)
株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
株式会社ラックバッググループ 代表取締役
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。現在は飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」を運営する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。