店舗ごとの利益が、家賃から下で止まっていませんか|会計の確定値を、店舗の損益に取り込む

店舗ごとの利益が、家賃から下で止まっていませんか|会計の確定値を、店舗の損益に取り込む

【結論】
POSレジ・勤怠・仕入をつなぐと、店舗別に売上・人件費・原価までは毎日出ます。ところがその下——家賃、水道光熱費、広告宣伝費、支払手数料——は、どこからも出てきません。これらは店舗のシステムではなく会計の中にしかないからです。結果として、店舗別の損益はいつも途中で止まり、続きは月次で経理が作った資料を待つことになります。TEAL BIはfreeeと接続できます。会計側の部門別・科目別の確定値を受け取り、部門を店舗に対応づけて、日々の実績と同じ画面に並べます。決算の数字を作る話ではありません。店舗の損益を、最後の行まで見えるようにするための連携です。

【この記事でわかること】
・店舗別の損益が、家賃から下で止まってしまう理由
・会計ソフトの「部門」と、TEAL BIの「店舗」を対応づける方法
・科目の呼び方が会社ごとに違っても比べられるようにする、標準の区分
・月次の確定値と日次の実績を、混ぜずに同じ画面へ置く考え方
・freeeとの接続がいまどこまで来ていて、何をご用意いただくのか

店舗別の利益が、家賃から下で止まっていませんか

毎日出る数字は、損益計算書の上のほうだけ

いまの状態

FLまでは出るが、その下が空欄

  • 売上・人件費・原価は翌朝そろう
  • 家賃・水道光熱費・販促費は入らない
  • 店舗の利益は、経理の資料を待つ
TEAL BI

会計側の確定値を、同じ店舗の行に置く

  • freeeの部門を、店舗に対応づける
  • 科目を標準の区分に寄せて並べる
  • FLの下まで、同じ画面で見える

足りないのは集計の速さではなく、店舗のシステムには最初から入っていない費用です。

図1:店舗別の損益が売上・人件費・原価で止まっている状態と、会計の確定値まで並んだ状態。

多店舗の会社で「店舗別の損益を見たい」というお話になると、たいてい同じところで止まります。売上は出る。人件費も出る。原価も出る。そこから先が出ない。家賃、水道光熱費、リース料、支払手数料、広告宣伝費。店舗を運営するうえで確実に発生していて、しかも金額の大きいものが、まとめて抜けます。

抜ける理由ははっきりしていて、これらの費用は、店舗のどのシステムも記録していないからです。POSレジは売ったものを記録します。勤怠は働いた時間を記録します。仕入のしくみは納品されたものを記録します。家賃を記録しているのは、会計だけです。

その結果、多くの会社で2つの数字が並行して動いています。ひとつは日々の売上と原価と人件費。もうひとつは、月次で経理が作る店舗別の損益。前者は翌朝に出るのに、後者は月が締まって、仕訳が終わってからしか出ません。店長やエリアマネージャーが「自分の店は儲かっているのか」を知るのは、いつも1か月以上あとになります。

売上・人件費・原価は毎日出る。その下は、会計にしかありません

損益計算書を上から見ていくと、どこまでが店舗のデータで、どこからが会計のデータかがはっきり分かれます。

どこから来るか いつ分かるか
売上高 POSレジ 翌朝
原価 仕入のしくみ(納品データ) 翌朝
人件費 勤怠(打刻) 翌朝
家賃・水道光熱費・販促費・手数料 ほか 会計 月次の締めのあと
営業利益 上の全部がそろって、はじめて出る 月次の締めのあと

この表の下2行が、店舗のシステムからは絶対に出てこない部分です。ですから「日次の損益」を名乗る仕組みの多くは、実際にはFL——原価と人件費——までしか見ていません。それが悪いわけではなく、それより下を出すには、会計とつなぐ以外に方法が無いということです。

TEAL BIは、この下2行を会計から受け取る形にしました。会計側で確定した金額を、店舗の行に置きにいきます。こちらで仕訳をしたり、金額を作ったりはしません。すでに確定しているものを、店舗という単位に並べ直すだけです。

会計ソフトの「部門」を、店舗に対応づけます

会計側では、店舗はたいてい部門として管理されています。freeeであれば部門、会社によっては事業所や拠点という呼び方をします。この部門と、TEAL BIの店舗をひもづける表を1つ持ちます。

これが必要になるのは、両側の呼び名がそろっていないことが普通だからです。会計側は3文字の略号で運用されていることが多く、店舗名がそのまま入っていることはまずありません。会社によっては、部門が店舗より細かかったり、逆に2店舗が1部門にまとまっていたりします。この対応表を先に作っておくことが、この連携でいちばん手のかかる部分です。そして、一度作れば以後は触りません。

店舗に当たらない部門——本社、商品部、あるいは「未配賦」——も、そのまま受け取ります。捨てません。捨ててしまうと、会社全体の合計が会計と合わなくなり、どこで抜けたのかを探すことになるからです。店舗に配る対象ではないものは、店舗に配らないまま持っておきます。

科目の呼び方は会社ごとに違うので、標準の区分に寄せます

勘定科目の名前は、会社ごとにばらばらです。家賃を地代家賃で持っている会社もあれば、賃借料を使っている会社も、両方を使い分けている会社もあります。科目名のまま並べると、会社をまたいでも社内の店舗どうしでも、比べられません。

そこでTEAL BIは、受け取った科目を6つの区分に寄せて持ちます。

売上高 / 原価 / 人件費 / 家賃 / その他 / 営業利益

どの科目をどの区分に入れるかは、会社ごとの設定です。給料手当・雑給・法定福利費・賞与引当金繰入額を人件費に寄せる、といった対応を登録しておくと、以後は自動でその区分に入ります。この寄せ方を計算式の中に書き込んでいないので、あとから「この行に何が入っているのか」を開いて確かめられます。

受け取る範囲は損益計算書の全体です。売上高、販売管理費はもちろん、営業外の収益と費用、期首・期末の商品棚卸、特別損益まで含めて取り込みます。表示する区分を6つに絞っているだけで、受け取る側で捨てていません。あとから区分の設計を変えたくなったときに、取り込み直しにならないようにするためです。

月次の確定値と、日次の実績は、役割が違います

2つの数字は、どちらかが正しいのではなく役割が違う

日次の実績

今日どうだったかを、明日動くために

  • 翌朝そろう。速いかわりに未確定
  • 売上・原価・人件費が中心
  • 使うのは店長とエリアマネージャー
会計の確定値

確かにこうだった、を後から重ねる

  • 月次。遅いかわりに確定している
  • 家賃から下まで、全科目そろう
  • 使うのは経営と管理部門

同じ画面に置きますが、混ぜて1つの数字にはしません。どちらの数字を見ているかが、常に分かる形にします。

図2:日次の実績と月次の会計確定値を、それぞれの役割で使い分ける考え方。

この2つを同じ画面に置くとき、いちばん気をつけているのは混ぜないことです。日次の売上と、会計の売上高は、ほぼ確実に一致しません。計上のタイミングが違い、含める・含めないの範囲も違うからです。一致させにいくと、どちらかを曲げることになります。

ですので、どちらも、それぞれの出どころのまま持ちます。日次の側は速報として、会計の側は確定値として、別の行に並びます。ずれの理由を説明できる形にしておくほうが、無理に一致させるより実務で使えます。この「ずれの正体」そのものについては、別の記事で詳しく書いています。

取り込む対象は前月までです。当月と、まだ来ていない月は取り込みません。会計側で仕訳が進んでいる途中の月を持ってきても、翌日には変わってしまうからです。いっぽうで、直近の数か月は「もう取り込んだ月」であっても、毎回取り直します。締めたあとに訂正の仕訳が入ることがあるためで、こちらの数字だけが古いまま残らないようにしています。さかのぼって取り込む範囲も設定で決められるので、接続した時点で過去2年ぶんをまとめて入れることもできます。

freeeとの接続は、いまどこまで来ているのか

ここは正直に書きます。freeeとの接続そのものは、できています。会計ソフト側で連携を許可していただくと、そこから部門別・科目別の実績を受け取れる状態です。まずは私たち自身が経営する会社の会計で、16か月ぶんをさかのぼって取り込み、実データで通ることを確認しました。部門の対応づけ、科目の寄せ方、過去への遡りまで、ひととおり動いています。

一方で、これを多くの企業様で毎月自動で回している段階には、まだありません。いまは接続と取り込みを、こちらでご一緒しながら進める形です。提供の時期をお約束していないのは、そのためです。

マネーフォワード クラウド会計についても、接続は可能です。お使いの会計ソフトをお聞かせいただければ、その構成で受け取れるかどうかを先にお返しします。会計ソフトを入れ替えていただく必要はありません。

ご用意いただくのは、次の3つです。①会計側で店舗が部門として分かれていること(分かれていない場合、店舗別の損益にはなりません)。②その部門と店舗の対応(こちらで一覧をお出ししてご確認いただきます)。③税抜で入力しているか税込かと、期首の月。この3つが決まれば、あとはこちら側の作業です。

実際に本番稼働している連携先

この記事は「何が動いていて、何がこれからか」を主題にしているので、連携先も同じ基準で出します。いま毎日データが流れているものだけを「本番稼働中」とし、そうでないものは分けて書きます。下の表にある連携が損益の上半分を作り、会計との接続が下半分を埋める、という関係になります。

区分 連携先 状況
POSレジ 東芝テック/スマレジ/USENレジ/NECモバイルPOS/ポスタス(POS+) 本番稼働中
ローズシステム/寺岡精工/funfo/Chompy(モバイルオーダー) 本番稼働中
ステアリテール(FoodFrontia Pro)/グローリー/リブオン(宅配Evolution)/ダイニー 接続対応中
予約・口コミ TableCheck/Googleビジネスプロフィール/Instagram
※Instagramは一部の企業様で稼働中です
本番稼働中
トレタ/エビカ 接続対応中
仕入 インフォマート 本番稼働中
メニューPlus(レシピ) 接続対応中
勤怠・人事 ジョブカン/King of Time/タッチオンタイム/SmartHR 本番稼働中
会計 freee会計/マネーフォワード クラウド会計 接続対応中
外部データ 気象データ(全国・時間帯別) 本番稼働中
上記以外 ネットワーク未接続の店舗を含む CSVアップロードで統合対象に含められます

よくある誤解

「会計とつなぐなら、経理の仕事がこちらに移るということですか」

移りません。仕訳も、締めも、決算も、これまでどおり経理側で行っていただきます。こちらは、確定したあとの金額を読ませていただくだけで、会計ソフトに書き込むことは一切ありません。読み取りしかしない接続です。経理の作業が増えることも、減ることもありません。変わるのは、その数字を見たい人が毎月おなじ依頼をしなくてよくなることのほうです。

「日次の売上と会計の売上高が合わないと、現場が混乱しませんか」

合わないことを先に見せてしまうほうが、混乱しません。隠して1つの数字にすると、あとで「聞いていた数字と違う」という話になります。同じ画面に2つ並べて、どちらが速報で、どちらが確定値かを明示するのが、いちばん説明しやすい形でした。ずれの理由も、たいていは計上のタイミングと含める範囲の2つに整理できます。1円まで合わせることを目標にしていません。

「会計側に店舗の部門が無いのですが、それでも使えますか」

店舗別の損益としては出せません。会計の中で店舗が分かれていなければ、どの店の費用かを決める情報がどこにも無いからです。この場合、まずは会社全体の損益として受け取り、店舗別の部分は日次の実績(売上・原価・人件費)で見ていただく形になります。部門を切っていただければ、その月から店舗別になります。過去にさかのぼって部門を付け直す必要はありません。

料金と、導入までの流れ

TEAL BIの料金は1店舗あたり月額8,000円(税抜)だけです。初期費用・導入費用・連携費用はいただいていません。POSレジ・勤怠・仕入の連携と、そこから作られる日次の売上・原価・人件費・着地見込みは、この料金に含まれます。オプション料金という考え方をしていません。

一方、この記事の中心である会計との接続は、料金表に載る機能としてご案内できる段階にありません。先行してお使いになりたい場合は、ご一緒に進める形でご相談ください。時期のお約束はできませんが、いまどこまで動いているかは、そのつど正直にお伝えします。

導入の流れは、いまお使いのPOSレジ・勤怠・会計ソフトの構成をお聞きするところから始まります。すでに接続実績のあるものであれば、やり取りは短く済み、約1週間で稼働を開始できます。掲載していないものが混ざっている場合も多くは連携可能で、その際はメーカー様との打ち合わせのうえ新規の連携開発を行います。期間の目安は1か月程度です。いずれの場合も月額8,000円のままで、連携のための費用はいただきません。

画面と機能をひととおりご覧になりたい場合は、サービス紹介資料(全10ページ)をご請求ください。フォームのご入力後、その場でダウンロードいただけます。

よくあるご質問

Q. 会計ソフトに、こちらから書き込むことはありますか?

ありません。読み取りだけです。仕訳の追加も、修正も、削除もしません。接続を許可していただく範囲も、実績の参照に必要なものだけにしています。接続はいつでも会計ソフト側から解除できます。解除しても、それまでに取り込んだ数字は残ります。

Q. 税抜と税込は、どちらで取り込まれますか?

会計側の設定に合わせます。接続のときに、御社が税抜で入力されているか税込かをうかがい、その基準のまま取り込みます。こちらで税を足したり引いたりはしません。基準が変わると過去との比較ができなくなるので、途中で切り替える場合は、どの月から変わったのかが分かる形にします。期首の月も同時にうかがいます。4月始まりの会社と、暦年の会社では、年度の区切りが変わるためです。

Q. 会計の数字が、あとから訂正されたときはどうなりますか?

直近の数か月は、毎回取り直しています。一度取り込んで成功した月であっても、もう一度読みにいきます。締めたあとに訂正の仕訳が入ることが実際にあるためで、こちらの数字だけが古いまま残るのを避けるための作りです。それより前の月については、期間をご指定いただければ取り込み直します。

Q. 本社や共通の経費は、店舗にどう配りますか?

既定では配りません。会計側で店舗の部門に入っていないものは、本社や共通のまま持ちます。配り方——売上比なのか、店舗数で等分なのか——は会社ごとに考え方が違い、そこを勝手に決めると、店長にとって身に覚えのない費用が乗ることになるためです。配賦のルールを社内でお決めになっている場合は、その形に合わせて設定できます。

Q. 過去のぶんは、どこまでさかのぼれますか?

会計側に残っている範囲であれば、さかのぼって取り込めます。既定では過去2年ぶんを見にいく設定にしていますが、変更できます。前年同月と比べたいというご要望が多いので、接続の時点で最低でも前年ぶんまでは入れておくことをおすすめしています。過去ぶんの取り込みに追加の費用はいただきません。

Q. 店長にも、この数字を見せることになりますか?

見せる範囲は選べます。店舗ごと・役割ごとに、どの数字まで見えるかを設定します。家賃や本社経費まで店長に見せている会社もあれば、店長にはFLまでとし、その下はエリアマネージャー以上にしている会社もあります。どちらが正しいという話ではありません。ただ、見せると決めた場合は全店で同じ基準にしておくことをおすすめしています。

TEAL BIについて

TEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。複数の飲食企業で本番稼働しています。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。

御社では会計ソフトは何をお使いで、その中で店舗は部門として分かれているでしょうか。この2つをお聞かせいただければ、いまの会計の作りのまま、店舗別の損益を最後の行まで出せるかどうかを先にお返しします。部門の切り方が店舗と一致していない場合も、対応の付け方をご一緒に整理いたします。

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執筆:斉田 教継((株)ラックバッググループ / (株)ティールテクノロジーズ 代表取締役)
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」の事業を主導する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。

投稿者プロフィール

斉田 教継株式会社ラックバッググループ 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
斉田 教継(さいだ のりつぐ)
株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
株式会社ラックバッググループ 代表取締役
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。現在は飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」を運営する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。