【結論】「原価が上がったのは値上がりのせい」で毎月の会議が終わってしまうのは、どの食材が、いくら押し上げたのかを出す手立てが無いからです。TEAL BIは、仕入のデータを前年の同じ月と、商品ごとに突き合わせます。単価が何%上がったのかと数量が何%増えたのかを分けて出し、前年より増えた金額の大きい順に並べます。取引先の名前が付いているので、次に誰と何の話をするかまで、その表の上で決まります。
【この記事でわかること】
・「値上がり」と「使いすぎ」を、仕入のデータだけで分ける方法
・単価上昇率と数量上昇率を分けて見ると、打つ手がどう変わるか
・前年より増えた金額(アップ額)の順に並べると、何が起きるか
・取引先・分類・店舗で絞り込んで、交渉の対象を決めるまでの流れ
・この画面がいまどこまで動いていて、何が要るのか
原価が上がったのは値上がりのせい、で毎月終わっています
同じ「原価率が1.5ポイント悪化」でも、中身は毎月ちがう
「値上がりですね」で会議が終わる
- どの食材かが言えないので、対象が決まらない
- 単価が上がったのか、使う量が増えたのかも分からない
- 結論は「気をつけましょう」になり、翌月も同じ話をする
商品別に、単価と数量に分けて並べる
- 前年の同じ月と、商品ごとに突き合わせる
- 単価上昇率と数量上昇率を、別の列で出す
- 増えた金額の大きい順に並ぶので、上から着手できる
仕入のデータは、すでに会社の中にあります。前年と商品単位で突き合わせる作業だけが、人の手に残っています。
月次の会議で原価率が前年より悪いと分かったとき、その場で出てくる説明は、たいてい「食材が値上がりしているので」です。実際そのとおりであることが多く、間違ってはいません。問題は、その次に何をするかが決まらないことです。
値上がりが理由だとして、どの食材が、どれだけ上がって、それが会社全体でいくらになっているのか。この3つが出てこないと、動きようがありません。取引先と話をするにも、メニューの構成を変えるにも、対象が決まらないからです。
出せない理由は、集計の技術ではなく量にあります。私たちがつないでいる会社では、2026年8月の1か月間に動いた品目が、15社の合計で25,372品目、取引先は952社ありました。いちばん多い1社では、1か月で7,034品目・431の取引先です。この規模のものを、前年の同じ月と1品ずつ突き合わせる作業は、Excelに落としたところで終わりません。
単価が上がったのか、量が増えたのかで、打つ手が変わります
同じ「牛肉に使った金額が前年より120万円増えた」でも、中身は2通りあります。1kgあたりの値段が上がったのか、使った量が増えたのか。前者なら取引先との交渉か、仕入先の見直しか、売価の話になります。後者なら、売れた数が伸びたのか、それとも仕込みの歩留まりや廃棄が悪くなったのかを見る話になります。
担当する部署も変わります。単価は購買・商品部の領域で、数量は店舗運営の領域です。ここが分かれていないと、購買には「使いすぎではないか」と言われ、店舗には「値上がりだから仕方ない」と返され、どちらも動かないまま翌月になります。
TEAL BIは、この2つを別々の列にしています。単価上昇率は、その月の平均単価を前年同月の平均単価で割ったものです。数量上昇率は、その月の数量の合計を前年同月の合計で割ったものです。合計上昇率は金額そのものの比なので、この2つが掛け合わさった結果として読めます。どちらが効いているかが、横に並んだ数字で分かります。
前年の同じ月と、商品ごとに突き合わせます
突き合わせの単位は、商品のカタログIDと単位(入り数)の組み合わせです。商品名ではありません。名前は表記がゆれますし、店舗ごとに違う書き方で入ってくることもあるからです。同じ食材でも、規格が「1kg」と「500g×2」で分かれていれば、別の行として扱います。混ぜて平均単価を出すと、比較にならないためです。
月の区切りは御社の締め日に合わせます。月末締めでない会社では、20日締めなら前月21日からの1か月が「その月」になります。前年側も同じ切り方をするので、日数の違いで単価がずれることがありません。
金額は税抜です。受け取ったぶんに加えて、発送済みでまだ届いていないぶんも、同じ月の金額として扱えます。月末に出荷されて翌月に届くものが、月をまたいで比較から外れないようにするためです。月の途中の原価率をどう見るかについては、「今月の原価率が、締めたあとに跳ね上がる」で詳しく書いています。
どれがいくら押し上げたのかを、金額で並べます
率だけを見ると、判断を誤ります。単価が3倍になった商品より、単価が8%上がった主力食材のほうが、会社全体への効き方は大きいということが普通に起きるからです。率の高い順に並べると、めったに買わない少額のものが上に来ます。
そこで、前年同月からの増加額——この画面ではアップ額と呼んでいます——を金額で出し、その大きい順を既定の並びにしています。表を開いた時点で、上から順に「会社の原価をいちばん押し上げているもの」が並んでいます。上から何品目かを片づければ、増えたぶんの大半が説明できます。
この並びは、そのまま着手する順番になります。会議で「原価対策をやります」と決めたときに、いちばん抜けやすいのが「では何から」の部分です。その答えが、あらかじめ順番に並んだ状態で出てきます。
取引先の名前が付いているので、次に誰と話すかが決まります
それぞれの行には取引先の名前が付いています。表記は「株式会社」「有限会社」を外してそろえてあるので、同じ会社が2行に分かれることがありません。アップ額の大きい順に並んだ表を取引先で絞り込めば、その1社との商談で扱うべき品目が一覧になります。
絞り込みは店舗・商品分類(大・中・小)・納品場所・取引先で効きます。「精肉だけ」「この業態の店舗だけ」「この1社だけ」と絞ったうえで、増えた金額の順に見る、という使い方になります。分類は、インフォマート側で付けている分類をそのまま使います。こちらで作り直しません。
ひとつ申し上げておきたいのは、これは取引先を評価するための表ではないということです。値上がりには相場の事情があり、こちらの発注の仕方に理由があることもあります。交渉の材料であって、相手を責める材料ではありません。そこは分けてお使いになることをおすすめしています。
仕入の構成が、1年でどう変わったかも並びます
同じ表に、その商品がその月の仕入総額の何%を占めているか(シェア)を、前年と今年の両方で出しています。金額の増減とは別の見方になります。
たとえば、金額は横ばいなのにシェアが落ちている商品は、ほかのものに置き換わっているということです。逆に、シェアが上がっているものは、メニューの構成か、売れ方か、発注のしかたが変わっています。値上がりの話とは別に、「うちは1年で何を多く買うようになったのか」が見えます。
今年から買い始めた商品と、去年は買っていて今年は買っていない商品も、表から落ちません。片方の年にしか無いものは、無いほうを0として並べます。「前年の実績があるものだけ」「今年の実績があるものだけ」に絞り込むこともできるので、入れ替わったぶんだけを取り出して見られます。
レシピを使う原価の話とは、別のものです
混同されやすいので、はっきり書いておきます。この記事で書いているのは、買ったものの値段と量を、前年と比べる話です。仕入のデータだけで成立するので、レシピの登録は要りません。インフォマートの取引データが入っていれば、そのぶんで出せます。
これとは別に、レシピを預けていただいて、料理1品ごとの原価を時価で書き換えるという取り組みがあります。そちらは「メニューの原価率がなぜ上がったのか」を扱うもので、本番ではまだ動いていません。段階と、いまどこまで来ているかは「棚卸をするまで在庫が分からない、を終わらせる」に書いています。この記事の内容は、そちらを待たずに成立します。
この画面は、いまどこまで動いているのか
正直に書きます。インフォマートとの連携そのものは本番稼働中です。2026年8月の1か月間で、15社ぶんの仕入が毎日入ってきています。連携の作り方——契約が複数に分かれている場合や、納品場所と店舗が1対1でない場合の扱い——は「インフォマートは入っているのに、全社の仕入が1枚になりません」に書きました。
一方で、この商品別の画面そのものは、2026年8月20日から順にお渡ししている途中です。まず自分たちの会社で使い始め、そこから広げています。「お申し込みいただければ明日から出ます」とは、まだ申し上げません。お使いの状況をうかがったうえで、順にご案内しています。
実際に本番稼働している連携先
この記事は「何が動いていて、何がこれからか」を主題にしているので、連携先も同じ基準で出します。いま毎日データが流れているものだけを「本番稼働中」とし、そうでないものは分けて書きます。この記事の主題は、下の表の「仕入」の1行目です。
| 区分 | 連携先 | 状況 |
|---|---|---|
| 仕入 | インフォマート | 本番稼働中 |
| メニューPlus(レシピ) | 接続対応中 | |
| POSレジ | 東芝テック/スマレジ/USENレジ/NECモバイルPOS/ポスタス(POS+) | 本番稼働中 |
| ローズシステム/寺岡精工/funfo/Chompy(モバイルオーダー) | 本番稼働中 | |
| ステアリテール(FoodFrontia Pro)/グローリー/リブオン(宅配Evolution)/ダイニー | 接続対応中 | |
| 予約・口コミ | TableCheck/Googleビジネスプロフィール/Instagram ※Instagramは一部の企業様で稼働中です |
本番稼働中 |
| トレタ/エビカ | 接続対応中 | |
| 勤怠・人事 | ジョブカン/King of Time/タッチオンタイム/SmartHR | 本番稼働中 |
| 外部データ | 気象データ(全国・時間帯別) | 本番稼働中 |
| 上記以外 | ネットワーク未接続の店舗を含む | CSVアップロードで統合対象に含められます |
よくある誤解
「値上がりの話なら、請求書を見れば分かります」
請求書で分かるのは合計金額です。そこから「単価が上がったのか、量が増えたのか」を取り出すには、前年の同じ月の伝票を並べて、1品ずつ突き合わせることになります。品目が数千あると、そこで止まります。実際、値上げの案内そのものは取引先から届いているのに、それが会社全体でいくらになったかを出せていないという会社がほとんどです。分かっていないのは値上げの事実ではなく、金額です。
「商品名が店舗ごとにばらばらなので、前年と比べられないと思います」
比べられます。突き合わせに使っているのは商品名ではなく、カタログIDと単位だからです。名前の表記がゆれていても、同じ商品として並びます。表示する名前のほうは、ばらついている場合でも1つに寄せて出します。マスタを整備してから始める必要はありません。
「うちは仕入先と長い付き合いなので、値下げ交渉はしません」
値下げを迫るための表ではありません。実際にこの表がいちばん使われるのは、売価の見直しと、メニューの構成を考えるときです。「この食材が前年比で18%上がっていて、うちの原価を年間で数百万円押し上げている」と分かれば、その食材を使ったメニューの売価を先に見直すという判断ができます。取引先を変えずに打てる手のほうが、実際には多いです。
料金と、導入までの流れ
TEAL BIの料金は1店舗あたり月額8,000円(税抜)だけです。初期費用・導入費用・連携費用はいただいていません。インフォマートとの連携、前年との突き合わせ、商品別・取引先別の集計、過去ぶんの遡りは、すべてこの料金に含まれます。オプション料金という考え方をしていません。
導入の流れは、インフォマートの契約が何本あるかと、納品場所の一覧をいただくところから始まります。インフォマートは接続実績のある連携先ですので、やり取りは短く済み、約1週間で稼働を開始できます。前年との比較は過去のデータが入ってはじめて出るものですので、さかのぼれるぶんは最初にまとめて取り込みます。あわせてお使いのPOSレジもうかがい、掲載していないメーカーが混ざっている場合は、メーカー様との打ち合わせのうえ新規の連携開発を行います。期間の目安は1か月程度です。
画面と機能をひととおりご覧になりたい場合は、サービス紹介資料(全10ページ)をご請求ください。フォームのご入力後、その場でダウンロードいただけます。
よくあるご質問
Q. 前年と比べるとき、店舗が増えていたらどうなりますか?
絞り込みで調整していただく形になります。既定では、選んだ範囲の店舗を合計して前年と比べますので、店舗が増えていれば数量は当然増えます。前年から続いている店舗だけを選んで見れば、既存店だけの比較になります。逆に、増えたぶんも含めて会社全体でいくら増えたのかを知りたい場合は、そのまま全店で見ていただきます。どちらの問いを立てているかで、選び方が変わります。
Q. 単価が上がっていないのに金額が増えている商品は、どう読めばよいですか?
数量上昇率のほうが上がっているはずですので、使う量が増えたということになります。そこから先は、売れた数が伸びたのか、仕込みの歩留まりが落ちたのか、廃棄が増えたのかの切り分けになります。この画面だけでは、そこまでは分かりません。売れた数はPOSレジの側にありますので、同じ期間の販売実績と並べてご覧いただくことになります。
Q. 規格や入り数が変わった商品は、前年と比べられますか?
単位が変わった場合は別の行として並びます。「1kg」で買っていたものが「500g×2」に変わっていれば、前年側に1kgの行、今年側に500g×2の行が立ちます。単価をそのまま比べると誤るためです。実質的に同じものだと分かっている場合は、分類のレベルで合計してご覧ください。いわゆる実質値上げ(値段は同じで内容量が減る)も、この形で表に出ます。
Q. 去年は買っていて、今年は買っていない商品も出ますか?
出ます。片方の年にしか無い商品も、無いほうを0として並べます。「前年の実績があるものだけ」「今年の実績があるものだけ」で絞り込めますので、やめた商品と、新しく買い始めた商品を、それぞれ取り出して見られます。取引先を切り替えた年は、ここが大きく動きます。
Q. 取引先を切り替えた場合、値上がりとして出てしまいませんか?
同じカタログIDのまま取引先が変わった場合は、単価の変化として出ます。別の商品に切り替えた場合は、前年側と今年側で別の行になります。いずれの場合も取引先の名前が並んでいますので、表を見れば切り替えだと分かります。ここは機械では判定できない部分ですので、名前を出して人が読める形にしています。
Q. 締め日が月末ではないのですが、そのまま使えますか?
使えます。月の区切りは、御社の締め日の設定に合わせます。20日締めであれば、前月21日から当月20日までが「その月」になり、前年側も同じ切り方をします。締め日の設定は、最初にうかがう項目のひとつです。
Q. 対象になるのは、インフォマートで発注しているものだけですか?
自動で入ってくるのはインフォマート経由のぶんです。市場での現金仕入や、FAX・電話で発注しているぶんは、CSVのアップロードで同じ表に合流させられます。合流させたあとは、どちらの経路で入ったかを気にせず、同じように前年と比べられます。一部の店舗だけインフォマート、という状態のままで構いません。
TEAL BIについて
TEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。複数の飲食企業で本番稼働しています。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。
御社では「今期いちばん原価を押し上げた食材」を、金額で3つ挙げられるでしょうか。挙げられないとしたら、それは管理が甘いからではなく、品目が数千あるからです。直近1か月ぶんの仕入データをいただければ、前年と突き合わせた実際の画面をお見せします。60分のお時間で、上位に何が並ぶところまでご覧いただけます。
執筆:斉田 教継((株)ラックバッググループ / (株)ティールテクノロジーズ 代表取締役)
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」の事業を主導する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。




