【コラム7】「DXを贅沢品から経営インフラへ」 投稿者: 斉田 教継2025年12月27日2025年12月21日お知らせ ――飲食企業が最初に見直すべき5つの問い―― ある中堅チェーンの社長と、初めてDXの話をしたときのことです。 「うちはそんなに大きな会社じゃないし、DXはまだ贅沢かなと思っていて…」 という言葉から始まりました。いろいろと話を聞いていくと、 店舗数は今後も増やしていきたい 人手不足はすでに限界に近い 店長の業務負荷も高く、長時間労働が当たり前 売上は伸びているのに、利益率は頭打ち という典型的な“成長の壁”にぶつかっていました。 そこで、私は逆にこうお聞きしました。 「この状態で、DXを『贅沢品』として棚上げしておく余裕は、本当にありますか?」 少しの沈黙の後、その社長は「…それはないですね」と静かに言いました。 1. DXを「コスト」ではなく「インフラ」として捉え直す 飲食企業が本気でDXに向き合うとき、最初の一歩は「捉え方のアップデート」です。 次の5つの問いを、自社に投げかけてみてほしいと思います。 情報システムを「コスト」ではなく「経営インフラ」として見ているか 「人件費の方が安いから」という理由で、DXを贅沢品扱いしていないか ベンダーだけでなく、「社内の特定の担当者」にロックインされていないか DXの荒波を受け止める“サンドバッグ役”としての役員スポンサーがいるか 「業務を変える前提」でSaaSやシステムを選べているか この5つの問いに、どれだけ自信を持って「YES」と言えるかが、DXの本気度を測る一つの物差しになります。 2. 「まだうちは早い」は、だいたいもう遅い >DXを「贅沢品」と捉えている間に何が起きるか。 競合は少しずつ、でも確実に「仕組み側」に仕事を寄せていく データの精度・スピード・粒度の差が広がる 店舗数が同じでも、利益率と生産性の差がじわじわ開く DXは、“一発逆転の魔法”ではありません。「仕組みへの移行スピード」の差が、数年後の差になるゲームです。 だからこそ、 「うちはまだ小さいから」「もう少し落ち着いてから」 という言葉が出ている時点で、実はゲームのスタートに、すでに出遅れている可能性があります。 3. ティールの斉田として、飲食DXに期待していること ティールテクノロジーズとして、私は「飲食DX=デジタル化」だとは思っていません。 お客様の体験をどう設計し直すか 店舗運営の前提をどう再定義するか 経営の意思決定を、どこまでデータドリブンにできるか そして何より、“人が人にしかできない働き方”に、どうリソースを振り直すか DXは、この一連の問いを避けずに、構造からやり直していくプロセスだと考えています。 4. まず「問い」を変えるところから始める すぐに巨大なプロジェクトを始めなくても構いません。でも、問いを変えることだけは、今日からできます。 「人とシステム、どちらが安いか?」ではなく、「この先5年で、何を“仕組み側”に移すべきか?」 「情シスに任せる」ではなく、「経営として、どこまでITとデータの責任を取るか?」 「SaaSに何を足すか?」ではなく、「どこまで業務をSaaSの標準に寄せられるか?」 こうした問いを、経営会議の真ん中に置いてもらうこと。 そこから、飲食企業のDXはやっと“本当のスタートライン”に立てると思っています。 投稿者プロフィール 斉田 教継株式会社ラックバッググループ 代表取締役CEO 新卒で産業機械メーカーに就職。インドで単独での市場開拓を経験。その後、ドイツ商社、外資系生命保険会社で経験を積み、2007年にラックバッググループ共同創業。飲食企業経営をしながら、2020年、飲食業界向け売上管理&分析システムTEAL BIを立ち上げる。飲食経営者兼、飲食業界DX開発者でもある。 最新記事 お知らせ2026年1月15日【POSレジの選び方:第3回】結局、POS選びは“保守・復旧・データ連携”で決まる。運用モデルで最適解を作る お知らせ2026年1月14日【POSレジの選び方:第2回】POSが落ちる“本当の理由”はWi-Fiだった。ネットワーク設計が運用を決める お知らせ2026年1月13日【POSレジの選び方:第1回】「安いからタブレットへ」の前に。乗り換えで必ず起きる“現場の摩擦”と、その設計 お知らせ2026年1月2日電子レシートが普及しない“構造”と、OFSCゲートで「実装する」意味