【コラム6】情シス丸投げでは、誰もリスクを取れない 投稿者: 斉田 教継2025年12月26日2025年12月21日お知らせ サンドバッグになれる役員が必要だ――ある飲食企業で、基幹システム刷新プロジェクトが走りました。キックオフでは、社長も役員も前向きで、掛け声だけは立派です。「DX元年だ!」「これで現場の生産性を一気に上げよう!」ところが、いざ導入が始まると、店舗から次々にトラブル報告が上がってきます。「前のシステムと操作感が違って現場が混乱している」「締め作業に時間がかかるようになった」「この帳票が出ないから、今月は困る」そのタイミングで、ありがちな一言が飛びます。「現場がここまで混乱するなら、この新システムは一旦止めよう」プロジェクトは事実上ストップ。最後に残るのは、ベンダーへの不満情シス担当への怒りと疲弊「やっぱり前のやり方が一番」という空気 だけです。 1. 「責任」と「権限」がねじれているこの手の失敗の裏には、ほぼ必ず構造問題があります。経営は「システムのことは情シスに任せている」と言うしかし情シスには、予算決定権も人事権もない営業系の役員は現場寄りで、「混乱」の声に最も敏感情シスは、現場の悲鳴もベンダー側の事情もシステムの構造的な必要性も全部分かっています。でも、「それでも、この方向に進むべきかどうか」を決める権限は持っていません。結果として、「実務の責任だけ押し付けられ、政治的な責任は誰も取らない」 という状態になります。 2. DXには「サンドバッグになれる役員」が必要DXや大きなシステム刷新は、どうやっても導入初期にトラブルが起きます。運用のほころびが表面化する想定していなかった例外ケースが噴き出す現場の負荷が一時的に増えるここを乗り越えるためには、「サンドバッグになる覚悟を持った役員」 が必要です。現場からの不満を一身に受け止めるベンダーと情シスの間に立って調整する「一時的な混乱は覚悟してでも、この方向で行く」と言い切る これは、情シス担当の役割ではありません。経営サイドの仕事です。 3. 丸投げされた情シスは、構造的に勝てない 情シスに丸投げしつつ、責任も権限も渡さない構造のままでは、改革は必ずどこかで潰れます。 営業系役員の「現場目線」 経営層の「短期的なクレーム回避」 現場の「慣れたやり方を変えたくない」 これらが束になると、情シス一部門では絶対に勝てません。 4. 「誰がどこまで責任を持つか」を先に決める ティールとしてプロジェクトに入るとき、最初に確認するのはここです。 プロジェクトの最終意思決定者は誰か 導入初期トラブル時に、矢面に立つのは誰か 情シスはどこまで責任を持ち、どこから先は経営の判断にするのか これを曖昧にしたままDXを始めると、後から必ず「ねじれ」が表面化します。 DXは、技術の話であると同時に、組織設計と権限設計の話でもあります。 情シス丸投げでは、誰も本当の意味でリスクを取りに行けません。 投稿者プロフィール 斉田 教継株式会社ラックバッググループ 代表取締役CEO 新卒で産業機械メーカーに就職。インドで単独での市場開拓を経験。その後、ドイツ商社、外資系生命保険会社で経験を積み、2007年にラックバッググループ共同創業。飲食企業経営をしながら、2020年、飲食業界向け売上管理&分析システムTEAL BIを立ち上げる。飲食経営者兼、飲食業界DX開発者でもある。 最新記事 お知らせ2026年1月15日【POSレジの選び方:第3回】結局、POS選びは“保守・復旧・データ連携”で決まる。運用モデルで最適解を作る お知らせ2026年1月14日【POSレジの選び方:第2回】POSが落ちる“本当の理由”はWi-Fiだった。ネットワーク設計が運用を決める お知らせ2026年1月13日【POSレジの選び方:第1回】「安いからタブレットへ」の前に。乗り換えで必ず起きる“現場の摩擦”と、その設計 お知らせ2026年1月2日電子レシートが普及しない“構造”と、OFSCゲートで「実装する」意味