「システム代が高い・人件費が安い」は、インドの工場と同じ発想 投稿者: 斉田 教継2025年12月23日2026年9月2日飲食業界のDX 若いころ、私は産業機械を売る仕事でインドに通っていました。自動化ラインの提案をしていて、現地の工場オーナーからこんな言葉を何度も聞きました。「機械より、人を床に並べた方が安い」工場の床に、作業員がぎっしり座っている光景を前に、オーナーは真顔でこう続けます。「自動化設備を入れるより、人を増やせばいい。インドではその方がコストが安いんだ」 このときの感覚が、いま日本の飲食企業でDX相談を受けるときに、何度もフラッシュバックします。 1. 「人を1人つけた方が安い」という計算式の危うさ 飲食企業でDXの話をすると、よくこう言われます。 「この業務、システムを入れると月◯万円ですよね」 「だったら人を1人つけた方が安い。システムは贅沢だ」 一見、冷静なコスト計算に見えます。ですが、この計算式には 「見えていないコスト」 が山ほど抜けています。 例えば、 その人が辞めたときの採用・教育コスト 忙しい時期にこぼれている作業と、その機会損失 手作業ゆえのミスと、それに伴うやり直し 店舗数が増えたとき、「人を増やす以外の選択肢がない」構造 こういった要素は、多くの場合「コスト」として数字に載ってきません。 2. 「安く見える」のは、時間軸が短すぎるからDX投資は、本来 3〜5年スパンで考えるもの です。仮に月30万円のシステム費がかかるとしても、3年でつくる価値は?5年後の店舗数を何店舗に増やしたいのか?そのとき、今と同じ“人海戦術”で本当に回るのか?こういう問いを一緒に置かないと、投資判断としては完全に片目をつぶった状態です。逆に言えば、「来月・再来月のコスト」だけで判断するから、DXがいつまでたっても“贅沢品扱い”から抜け出せない。 ということでもあります。 3. DX投資の本当のリターンはどこに出るか DX投資のリターンは、単純な「人件費削減」にとどまりません。 データが揃うことによる、経営判断の精度向上 店舗数が増えても、「人を同じ割合で増やさなくて済む」構造 クオリティコントロールの安定化(人によるバラつきを減らす) 属人化からの脱却(誰が辞めても回る仕組み) これらは、短期の試算だけではなかなか数字になりません。しかし、5年・10年のスパンで見ると、とんでもなく大きな差になります。 4. 人件費比較から、「総コストと伸びしろ比較」へDXの投資判断をご一緒するときには、必ずこうお話しします。「人件費 vs システム費」で比較すると、DXは一生“負け続け”ます。比較すべきは、「総コスト」と「伸びしろ」です。今の運用を続けた場合の総コストDXをした場合の総コストその差額と、得られる伸びしろ(店舗拡大・業態転換・分析力) この視点を持てるかどうかが、「DXが贅沢かどうか」ではなく、「DXが生き残りに必要かどうか」 という問いに変わる起点になります。 TEAL BIについてTEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。導入相談・デモのご依頼は お問い合わせフォーム からどうぞ。 投稿者プロフィール 斉田 教継株式会社ラックバッググループ 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役 斉田 教継(さいだ のりつぐ) 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役 株式会社ラックバッググループ 代表取締役 20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。現在は飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」を運営する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。 最新記事 経営と現場2026年9月8日数字が読めるようになったことと、店が当たることは別の能力です|飲食業はクリエーションである 経営と現場2026年9月8日「現場が反対しているので進められません」と、何年言い続けていますか|心地良さは判断基準になりません 原価・仕入・棚卸2026年9月3日棚卸高は、店舗ごとにいくらが適正か把握できていますか|商品ごとの月数に直して、店舗と一緒に決める 原価・仕入・棚卸2026年9月3日売上が伸びていないのに、棚卸高だけ増えていませんか|棚卸高・売上高・確定原価率を重ねて2年分見る