「ベンダーロックイン」より厄介な、「情シスロックイン」という病 投稿者: 斉田 教継2025年12月24日2026年9月2日飲食業界のDX ある飲食企業で、長年情シスを担当してきたベテラン社員の方と話をしました。年齢は60代目前。穏やかな口調で、でも本音ではかなり追い込まれていました。「自分がいなくなったら、この会社のシステムを誰も触れないと思います」「だから、辞めたくても辞められないんです」 よく聞く「ベンダーロックイン」よりも、正直こちらの方がはるかに危険です。 1. こうして「情シスロックイン」は生まれる情シスロックインは、次のような流れで静かに進行します。社内でITに詳しい人が、自然と情シス担当として任命される現場や役員からの細かい要望に、何年もかけて真面目に応え続けるベンダーとも“裏配線”のようなカスタマイズを積み上げる気づけば、「あの人以外、何がどうつながっているか分からない」状態になるベンダーに問い合わせても、「その設定は御社独自カスタマイズなので、社内の情シスご担当に…」と返されてしまう。中の構造は、本人の頭の中にしかない。 これが、情シスロックインです。 2. 経営視点から見ると「中枢機能の人質化」経営の視点で見ると、これはかなり危険な状態です。売上・在庫・人件費・顧客情報など、会社の“血液”とも言えるデータが個人の頭の中のルールに依存している情報システムという中枢機能が、最も危険な「属人」という場所に置かれているつまり、会社の心臓と血管の設計図を、一人の個人が握っているわけです。 その人が病気になったり、突然辞めたりしたときのインパクトは、本来であれば「経営リスク」として真剣に評価されるべきレベルです。 3. 「辞められない人」を作ってしまう罪本人も苦しみます。責任感が強いほど、「自分が辞めたら会社に迷惑がかかる」と感じるでも、構造的にはもう限界に来ているSaaSに移したい・標準化したいと思っているのに、日々の「便利屋仕事」に追われて手を付けられない結果として、「情シスの◯◯さんは、定年になっても辞めないらしい」 という“伝説的人物”が生まれます。それは個人の美談ではなく、構造としては完全に危険信号です。 4. 情シスロックインを解く3つのステップ ティールとしてご一緒するときは、このロックインを解くために、だいたい次の3ステップを提案します。 システム全体図の可視化 すべての主要システムとデータの流れをA3一枚に描き出す 「誰も見たことがない全体像」を、まず“絵”にする 暗黙知のドキュメント化 長年のカスタマイズ仕様 特殊なマスタ管理のルール エラーが出たときの“裏ワザ” SaaS・標準基盤への段階的な移行計画 一気にゼロから作り直すのではなく、「ここから順に標準化していく」というロードマップを引く 「◯◯さんがいないと回らない」状態から、「◯◯さんがいなくても回るが、いるともっと強くなる」状態へ。 ここまで来て初めて、情シス担当も“会社も”楽になり、DXが「人に依存しない仕組み」として機能し始めます。 TEAL BIについてTEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。導入相談・デモのご依頼は お問い合わせフォーム からどうぞ。 投稿者プロフィール 斉田 教継株式会社ラックバッググループ 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役 斉田 教継(さいだ のりつぐ) 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役 株式会社ラックバッググループ 代表取締役 20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。現在は飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」を運営する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。 最新記事 経営と現場2026年9月8日数字が読めるようになったことと、店が当たることは別の能力です|飲食業はクリエーションである 経営と現場2026年9月8日「現場が反対しているので進められません」と、何年言い続けていますか|心地良さは判断基準になりません 原価・仕入・棚卸2026年9月3日棚卸高は、店舗ごとにいくらが適正か把握できていますか|商品ごとの月数に直して、店舗と一緒に決める 原価・仕入・棚卸2026年9月3日売上が伸びていないのに、棚卸高だけ増えていませんか|棚卸高・売上高・確定原価率を重ねて2年分見る