今月の仕入がいくらか、人によって答えが違う|発注日でも請求日でもなく、納品日でそろえる

今月の仕入がいくらか、人によって答えが違う|発注日でも請求日でもなく、納品日でそろえる

【結論】「今月の仕入はいくらか」で数字が食い違うのは、計算が間違っているからではありません。発注した日・店に届いた日・請求が来た日が、それぞれ別の日だからです。TEAL BIは、店に届いた日——納品日で並べます。取り込みは毎晩走り、翌朝には前日までの金額が店舗別・日別にそろっています。この記事は、その「いつの数字か」をそろえる話です。

【この記事でわかること】
・同じ「今月の仕入」で、3人が3つの数字を答えてしまう理由
・発注日・納品日・請求日のうち、どれで並べるのが実態に近いか
・仕入先側で伝票が訂正されたとき、金額がどう入れ替わるか
・店舗別・日別の仕入金額が、翌朝までにそろうということ
・この数字に入っていないもの(在庫の増減)の線引き

「今月の仕入、いくら?」に、3人が3つの数字を答えます

店長は発注の控えを見ます。エリアマネージャーは前月の会議資料を見ます。経理は届いた請求書を積み上げます。3人とも真面目に数えているのに、出てくる金額が違います。

違う理由は単純で、数えている対象がずれているからです。店長が見ているのは「頼んだもの」、経理が見ているのは「請求が来たもの」、そして棚の中で実際に減っているのは「届いたもの」です。月末に近いほどこの3つはずれます。月末に発注したものは翌月に届き、月末に届いたものは翌月に請求されるからです。

この状態でいちばん困るのは、現場に近い人です。店長が「今月うちの店はいくら仕入れたか」を自分で確かめる手段が無いまま、翌月になってから本部の数字で評価されることになります。数字が腹落ちしないので、原価の話が「気をつけます」で終わります。

発注した日でも、請求が来た日でもなく、納品された日で並べます

同じ伝票でも、どの日で数えるかで月が変わります

発注日・請求日で数える

月をまたぐ取引が、どちらの月にも乗る

  • 月末の発注が、届く前に当月へ計上される
  • 請求のタイミングは仕入先ごとにばらばら
  • 店長の控えと経理の集計が、毎月ずれる
納品日で数える

実際に店へ入った日で並ぶ

  • 棚の中で減っていくものと、日付が一致する
  • 仕入先が違っても、全店で同じ基準になる
  • 売上と同じ日付の行に置ける

月末月初は、この違いがそのまま原価率の差になって出ます。

図1:発注日・請求日ではなく納品日で並べると、棚の動きと数字が一致する。

納品日を基準にする理由は、それが唯一「店の中で起きたこと」と一致する日付だからです。発注は意思、請求は事務手続きで、どちらも店の棚には何も起こしていません。物が入った日を基準にすると、売上と同じ土俵に乗ります。

実務上の効き目は、月またぎで出ます。月末に発注して翌月1日に届いたものは、翌月の仕入になります。逆に、月末に届いて請求が翌月になったものは、届いた月の仕入です。「今月に使われたものは、今月の原価」という感覚と、集計の基準がそろいます。

伝票は、あとから書き換わることがあります

仕入のデータは、一度入ってきたら終わりではありません。品違いや数量違いがあれば伝票は訂正されますし、単価が後日決まる商品もあります。取消の伝票が別に立つこともあります。いずれも、最初に届いた伝票のあとから来ます。

ここを「新しく届いたぶんを足していく」作り方にすると、訂正のたびに二重計上が起きます。元の伝票と訂正後の伝票が両方残るからです。合計だけを見ていると気づけないのが、この種のずれの厄介なところです。

取り込みは毎晩走り、伝票の単位で置き換わります

足し算ではなく、伝票ごとに入れ替えます

納品の伝票
取消の伝票
訂正して出し直された伝票
伝票番号と店舗の単位で入れ替える同じ伝票は上書き。二重に足さない
翌朝にはそろっている
  • 前日までの金額が店舗別・日別に
  • 店舗が操作することはない
  • 集計をやり直す作業も無い

取り込みは毎晩の自動実行で、朝には終わっています。

図2:伝票番号と店舗の単位で置き換えるため、訂正が入っても二重計上にならない。

やっていることは、差分の追記ではなく入れ替えです。同じ伝票が訂正されて出し直された場合、前の内容は残らず、新しい内容に置き換わります。足し算をしていないので、訂正が何回入っても金額が膨らみません。

店舗側でしていただく操作はありません。夜のうちに取り込みが走り、翌朝には前日までの金額がそろっている状態になります。本部に「先週の伝票はもう入っていますか」と電話して確かめる作業が、そもそも発生しません。

売上と仕入が、同じ日付の行に並びます

納品日でそろえておくと、売上・人件費・仕入が同じ日付で1つの表に並びます。ここまで来ると、原価率は割り算をするだけになります。

この形にしておく価値は、月次の数字を早く出せることではありません。おかしい日を特定できることです。月の合計だけを見ていると「今月は原価率が高かった」で終わりますが、日別に並んでいれば、特定の1日だけ大量に入っている、特定の曜日だけ多い、といった形で理由の当たりが付きます。

そして仕入の金額は、店舗ごとに分かれた状態で入ります。本部で按分した数字ではありません。自分の店の数字として見られるので、店長が自分で確かめられます。

この数字に入っていないものを、先に書きます

ここは正直に線を引かせてください。この原価率は、実際に計上された仕入の金額から出しています。在庫の増減は入っていません。

つまり、月末に在庫を多めに持てば原価率は高く出ますし、在庫を使い切れば低く出ます。期末の棚卸で在庫の増減を反映させた数字とは、目的が違います。棚卸のほうは会計上の結果を出すためのもので、こちらは月のうちに気づくためのものです。

もう1つ、仕入システムを通らない仕入は、そのままでは入りません。市場での現金仕入や、近所のスーパーで買い足したぶんがこれにあたります。CSVでの取り込みには対応していますので、金額の大きいものだけ入れていただく運用が現実的です。入れなければ、そのぶん原価率は低めに出ます。

そして、毎晩の取り込みが見ているのは直近の日付です。ずっと前の月の伝票が仕入先側であとから訂正された場合、それが自動でさかのぼって反映されるわけではありません。その場合は期間を指定して取り込み直す形になります。導入時に過去のデータをまとめて取り込むのと同じ仕組みで、店舗側の作業は発生しません。

実際に本番稼働している連携先

この記事は「何が動いていて、何がこれからか」を主題にしているので、連携先も同じ基準で出します。いま毎日データが流れているものだけを「本番稼働中」とし、そうでないものは分けて書きます。

区分 連携先 状況
POSレジ 東芝テック/スマレジ/USENレジ/NECモバイルPOS/ポスタス(POS+) 本番稼働中
ローズシステム/寺岡精工/funfo/Chompy(モバイルオーダー) 本番稼働中
ステアリテール(FoodFrontia Pro)/グローリー/リブオン(宅配Evolution)/ダイニー 接続対応中
仕入 インフォマート 本番稼働中
メニューPlus(レシピ) 接続対応中
勤怠・人事 ジョブカン/King of Time/タッチオンタイム/SmartHR 本番稼働中
予約・口コミ Googleビジネスプロフィール/TableCheck/Instagram
※Instagramは一部の企業様で稼働中です
本番稼働中
外部データ 気象データ(全国・時間帯別) 本番稼働中
上記以外 ネットワーク未接続の店舗を含む CSVアップロードで統合対象に含められます

この記事の主題は、この表の「仕入」の行そのものです。インフォマートは本番稼働中で、ここまで書いてきたことは今日からお使いいただけます。その下の「メニューPlus(レシピ)」は接続対応中で、こちらだけは稼働の時期をお約束していません。

よくある誤解

「請求書ベースでないと、経理の数字と合わないのでは」

合いません。そして、合わなくて構いません。経理が締める数字は会計のルールに沿った金額で、こちらは店舗運営を判断するための金額なので、目的が違います。問題なのは食い違うことではなく、どちらの基準で話しているのかを全員が分かっていないことです。納品日でそろえておけば、少なくとも店舗同士・月同士は同じ基準で比べられます。会計との差は、在庫の増減と請求のタイミングという2つの理由に分けて説明できる形になります。

「うちは仕入先が多いので、そろえるのは無理だと思います」

仕入先の数は、実はあまり関係ありません。伝票の形式をそろえる作業は取り込む側でやりますし、仕入先ごとに納品の曜日が違っても、日付で並べれば自然に合流します。効くのはむしろ、店舗ごとに発注のやり方が違う場合です。電話やFAXで直接やり取りしている仕入先があると、その分だけデータに乗ってきません。まずどの仕入先がシステムを通っているかをお聞かせください。

「発注のシステムを別で使っているので、そちらを見れば足りるのでは」

発注のシステムが持っているのは「頼んだもの」です。欠品して代替品が入った、頼んだ数より少なく届いた、といった差はそこには出てきません。金額としても、発注時点の予定額であって、納品時に確定した金額とは限りません。何より、発注のシステムの中には売上がありません。原価率にするには、結局どこかで売上と突き合わせる必要があります。発注は発注のシステムで続けていただいて構いません。ここで言っているのは、そのあとに届いた実績のほうを日付でそろえる、という話です。

料金と、導入までの流れ

TEAL BIの料金は1店舗あたり月額8,000円(税抜)だけです。初期費用・導入費用・連携費用はいただいていません。この記事に書いた内容——実際に計上された仕入を納品日でそろえ、店舗別・日別に売上と並べるところまでは、この料金の範囲で今日からお使いいただけます。オプション料金という考え方をしていません。

導入は、いまお使いのPOSレジと勤怠システムの構成をお聞きするところから始まります。すでに接続実績のあるものであれば、やり取りは短く済み、約1週間で稼働を開始できます。掲載していないものが混ざっている場合も多くは連携可能で、その際はメーカー様との打ち合わせのうえ新規の連携開発を行います。期間の目安は1か月程度です。いずれの場合も月額8,000円のままで、連携のための費用はいただきません。

いまお使いいただける範囲の画面と機能をひととおりご覧になりたい場合は、サービス紹介資料(全10ページ)をご請求ください。フォームのご入力後、その場でダウンロードいただけます。

よくあるご質問

Q. 仕入の日付は、納品日と請求日のどちらを選べますか?

納品日でそろえています。選択式にしていないのは、店舗や月によって基準が変わると比較そのものが成立しなくなるからです。会計側の締めは請求で行われることが多いので、その差は在庫の増減とあわせて説明する形になります。どちらの数字も必要な場合は、目的ごとに使い分けていただくのが現実的です。

Q. 伝票が訂正された場合、金額は二重になりませんか?

なりません。取り込みは足し算ではなく、伝票番号と店舗の単位での入れ替えだからです。同じ伝票が出し直されれば、前の内容は残らず新しい内容に置き換わります。取消の伝票が別に立つ場合は、その伝票が持っている日付で入ります。

Q. ずっと前の月の伝票が訂正された場合はどうなりますか?

毎晩の取り込みが見ているのは直近の日付なので、自動ではさかのぼりません。その場合は期間を指定して取り込み直す形になります。導入時に過去のデータをまとめて取り込むのと同じ仕組みで、店舗側での操作は必要ありません。すでに会議に出した資料と食い違うのを避けたい場合は、何日時点の数字かを添えてお使いください。

Q. 仕入先から届く伝票の形式がばらばらです。

形式をそろえる作業は取り込む側で行います。仕入システムを通っているものであれば、店舗や仕入先ごとに追加の作業をお願いすることはありません。通っていないものは、CSVでの取り込みか、そのまま対象外にするかのご相談になります。

Q. 消耗品や販促費まで原価に入ってしまいませんか?

何を仕入として算入するかは、企業様ごとに科目を登録していただく形になっています。包材や消耗品を原価に入れるかどうかは会社の方針によって違うので、こちらで決め打ちにしていません。登録は最初に一度で、あとは自動で振り分けられます。

Q. 店舗ごとの金額は、按分されたものですか?

按分ではありません。伝票が店舗ごとに分かれた状態で入ってくるので、そのまま店舗の金額として持っています。本部でまとめて仕入れて各店へ配送されている場合は、配送のデータが分かれていればそのまま、分かれていなければ配分の考え方をご相談させてください。

Q. 棚卸をしていないのですが、それでも使えますか?

使えます。この数字は実際に計上された仕入から出しているので、棚卸をしていなくても毎日出ます。ただし在庫の増減が入っていないぶん、月をまたいだときのぶれは残ります。棚卸をされている場合は、その差がどこから来ているのかを見る材料としてお使いいただけます。

TEAL BIについて

TEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。複数の飲食企業で本番稼働しています。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。

お問い合わせ / 資料請求(全10ページ)

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執筆:斉田 教継((株)ラックバッググループ / (株)ティールテクノロジーズ 代表取締役) 20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」の事業を主導する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。

投稿者プロフィール

斉田 教継株式会社ラックバッググループ 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
斉田 教継(さいだ のりつぐ)
株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
株式会社ラックバッググループ 代表取締役
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。現在は飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」を運営する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。