POSの過去データは保存期間で消える|乗り換え時のデータ移行と前年対比

POSの過去データは保存期間で消える|乗り換え時のデータ移行と前年対比

【結論】
POSレジの管理画面で去年のグラフが見えていても、その元になった1件ずつのデータが残っているとは限りません。生データの保存期間は製品と契約によって違い、期間を過ぎたぶんは遡れなくなります。POSを乗り換えたときも、そこで年計が切れます。TEAL BIは毎日の取引データをそのまま受け取ってTEAL側に蓄積するため、POSの保存期間に左右されずに前年・2年前との対比が続きます。過去のデータをさかのぼって取り込むこともでき、その費用はいただいていません。

【この記事でわかること】
・「画面に見えている」ことと「データが残っている」ことの違い
・生データの保存期間が過ぎると、あとから何ができなくなるのか
・POSを乗り換えるときに、過去の数字がどこで切れるのか
・消える前に外へ出しておく、という考え方
・料金と、実際に本番稼働している連携先の一覧

その生データ、いつまで残っていますか

画面に見えることと、明細が残ることは別

いまの状態

POSの保存期間に左右される

  • 過去のグラフは見えている
  • 元の取引明細は消えていることがある
  • 乗り換えると前年対比が途中で切れる
TEAL BI

毎日の取引を外へ蓄積する

  • 保存期間を過ぎても明細が残る
  • POSを替えても過去から数字が続く
  • 後から別の切り口で集計できる

集計結果は明細から作れますが、集計結果から明細を戻すことはできません。

図1:管理画面の集計結果だけに頼る状態から、毎日の取引明細を外へ蓄積して比較を続けられる状態へ変わります。

POSレジの中には、1件ずつの取引データが記録されています。何時に、どの商品が、いくらで、どう会計されたか。ここまでは、どの製品でも同じです。

違うのは、それがいつまで保持されるかです。保存期間は製品や契約の内容によって差があり、数か月程度で入れ替わっていくものもあります。期間を過ぎたぶんは、遡って取り出すことができません。

これは不具合ではありません。POSレジは会計のための道具なので、何年も前の1件ずつの明細を保持し続ける必要がないという設計です。設計としては正しく、本部の都合とだけ噛み合っていない——それだけのことです。

問題は、この事実が気づかれにくいことです。必要になるのは「去年と比べたい」と思ったときで、そのときにはもう手遅れだからです。

「見えている」のは集計結果で、「残っている」のは別の話です

集計結果から、元の取引には戻れない

画面に見える

集計済みの数字

  • 月別の売上合計
  • 当時決めた切り口だけ
  • 元の明細がなければ分解できない
外に残す

取引データそのもの

  • 時間帯や商品を後から見直せる
  • 必要な集計をその都度作れる
  • POSの保存期間に左右されない

合計は明細から作れます。明細は合計から作れません。

図2:集計済みの数字だけでは後から見方を変えられませんが、取引データが残っていれば必要な切り口を作れます。

管理画面を開けば、去年の売上のグラフが表示されることがあります。だから過去データは残っている——そう考えるのが自然です。ですが、画面に出ているのは多くの場合、集計済みの数字です。

集計結果と生データは別のものです。月別の売上合計は残っていても、その月のどの時間帯にどの商品が出たのかは、生データがなければ二度と出てきません。集計は生データから作れますが、逆はできません。

この差が効いてくるのは、あとから見方を変えたくなったときです。「あの月、なぜ落ちたのか」を時間帯で見たい。「グランドメニューを変える前と後で、どの商品が入れ替わったのか」を知りたい。集計結果しか残っていなければ、これらの問いには答えられません。

データは自社のものです。ただ、取り出せるかは別の問題です

「自社の売上データなのだから、頼めば出してもらえるはず」——多くの企業がそう考えています。実際に依頼してみると、そういう形では出せないという回答になることがあります。

これも、意地悪をされているわけではありません。そもそも「1件ずつの明細を外部に渡す」という使い方が想定されていない製品では、渡すための手段自体が用意されていないからです。用意されていても、形式が独特で、そのままでは読めないこともあります。

つまり、データの所有と、データを取り出せることは、別々の話です。持っているつもりのものが、実際には手元にない——多店舗の本部で起きているのは、この状態です。

POSを乗り換えると、そこで年計が切れます

POSレジの入れ替えは、店舗の都合で起こります。老朽化、サポート終了、業態変更、他社からの店舗の引き継ぎ。そのたびに、本部の数字はそこで一度切れます。

切り替えた翌月から、前年対比が出せなくなります。新しいPOSには去年のデータが入っていないからです。多くの場合、前年比が戻るまで丸1年かかります。その1年は、店の良し悪しを「前月比」だけで判断することになります。

複数のメーカーが混在している企業では、これが店舗ごとにバラバラのタイミングで起こります。A店は3年ぶん、B店は8か月ぶんしか遡れない——同じ本部の表の中で、比較できる期間が店によって違うという状態になります。

POSの入れ替えを検討している段階でご相談いただくと、切り替え前のデータを取り込んだうえで移行できます。POSの選定そのものについては、POSレジの選び方は保守・復旧・データ連携で決まるもあわせてご覧ください。

消える前に、外に出しておく

やることは単純です。毎日の取引データを、その日のうちにTEAL側へ運んで蓄積しておく。それだけです。取得は夜間に自動で行われ、店舗側の操作はありません。

いったんTEAL側に入ってしまえば、POSの保存期間が過ぎても、本部の数字は消えません。POSを入れ替えても、切り替え前の期間はそのまま残ります。前年対比も、2年前との対比も、途切れずに続きます。

受け取るのは集計結果ではなく取引データそのものです。ここが効いてきます。1件ずつのデータが手元にあれば、何年か経ってから違う切り口で見直したくなっても、そのときに作れます。集計結果だけを保存していたら、当時決めた見方から一歩も動けません。

「いつか必要になるかもしれない」ではなく、必要になったときには、もう取り返せない種類のものです。だから、まだ見えているうちに外へ出しておくことをおすすめしています。

過去のデータは、さかのぼって取り込めます

まだPOS側に残っている期間があれば、それをさかのぼって取り込むことができます。この費用はいただいていません。導入した初月から前年対比を見られる状態で始められます。

すでにPOSから出したCSVが本部に溜まっている場合、それも取り込めます。ネットワークにつながっていない店舗を含めるときと同じ仕組みです。形式がばらばらでも、共通フォーマットに変換してから並べます。

どこまで遡れるかは、POS側にどこまで残っているかで決まります。ここだけは、あとから増やせません。お問い合わせいただいた時点で、まず「いま何が残っているか」を一緒に確認しています。

数字が届くのは、翌日の朝です

前日ぶんを翌朝までに残す

閉店まで

店舗はいつも通り営業

POS側で取引が記録されます

夜間

取引データを自動で取得

集計結果ではなく、明細をTEAL側へ蓄積します

翌朝

確定した前日ぶんを表示

元のシステムで後に消えても、取り込んだ数字は残ります

全員が同じ確定値を見ながら、将来の比較に使う元データも残します。

担当者が書き出す前に消えていた、という状態を毎日の自動取得で防ぎます。

図3:店舗の通常営業後に取引明細を自動取得し、翌朝の表と将来の再集計に使える形で残します。

取得は夜間に自動で行われます。いったん取り込んだあとは、元のシステム側で保持期間が切れても、こちらに残った数字は消えません。翌朝の表も、担当者が何か操作しなくても出ています。

「前日ぶん」で統一しているのには理由があります。当日の途中経過は、店舗の締め処理が済んでいないぶん、時間帯によって数字が動きます。本部・エリアマネージャー・店長が別々の時刻に見て、別々の数字を持ち帰るのが一番まずいので、全員が同じ確定値を見る形に揃えています。

さかのぼれた分は、何として使えるのか

全店が1枚に並ぶ

前日ぶんの売上・客数・客単価が、店舗別に並びます。過去分を取り込んでおけば、この画面に前年・2年前が最初から入った状態で始められます。

担当の4〜5店だけが並ぶ

見せる範囲は役職に応じて分けられます。店長には自分の店だけ、エリアマネージャーには担当する4〜5店だけを表示できます。全店の中で何位かを知る必要はなく、担当範囲で今日打つ手が分かればいい、という考え方です。見せ分けによって料金が変わることはありません。

売上・人件費・仕入が、同じ日付で並ぶ

勤怠を合わせて連携すると、同じ画面に労働時間が乗ります。予算値を登録しておけば、日次の予実と当月の着地見込みが自動で出ます。過去分が残っていた店と、残っていなかった店が混ざっていても、同じ表の中で扱えます。

実際に本番稼働している連携先

連携先については、いま毎日データが流れているものだけを「本番稼働中」と書いています。どこまでさかのぼれるかは連携の方式と契約によって変わるので、まず現在の状況をそのまま出します。

区分連携先状況
POSレジ東芝テック/スマレジ/USENレジ/NECモバイルPOS/ポスタス(POS+)本番稼働中
ローズシステム/寺岡精工/funfo/Chompy(モバイルオーダー)本番稼働中
ステアリテール(FoodFrontia Pro)/グローリー/リブオン(宅配Evolution)/ダイニー接続対応中
仕入インフォマート本番稼働中
メニューPlus(レシピ)接続対応中
勤怠・人事ジョブカン/King of Time/タッチオンタイム/SmartHR本番稼働中
予約・口コミGoogleビジネスプロフィール/TableCheck/Instagram
※Instagramは一部の企業様で稼働中です
本番稼働中
外部データ気象データ(全国・時間帯別)本番稼働中
上記以外ネットワーク未接続の店舗を含むCSVアップロードで統合対象に含められます

どれくらい作業が減るのか

直営12店舗での実測値

106時間削減した集計作業
20万円人件費換算
12店舗実測した直営店の数

過去データを探して手で掘り起こす時間も、数字を読む時間へ回せます。

図4:直営12店舗で実測した、過去データの確認を含む月あたりの集計作業の削減量です。

直営12店舗の飲食企業では、店舗と本部のエクセル作業が1か月で106時間・金額にして20万円ぶん減りました。過去分を手で掘り起こしていた作業も、この中に含まれています。

106時間は担当者1人の月間労働時間のおよそ3分の2にあたります。過去のデータを探し回る時間がなくなると、その人は数字を作る側から、数字を読んで手を打つ側に回れます。

よくある誤解

この節で扱うよくある誤解

管理画面に去年のグラフが出ているので、データは残っています

見えている集計結果と、元の取引明細が残っていることは別です

必要になったときに、まとめて出してもらえばいいですよね

必要になった時点では、保存期間を過ぎている可能性があります

いまの集計をいったん止めないと、切り替えられません

現在の集計と並行で確かめてから切り替えられます

図5:過去データの見え方、取り出す時期、現在の集計との並行運用について、本文で扱う誤解と事実です。

「管理画面に去年のグラフが出ているので、データは残っています」

グラフが出ていることと、生データが残っていることは別です。画面に表示されているのは、多くの場合すでに集計された数字で、その元になった1件ずつの明細は保持期間を過ぎると入れ替わっていきます。

確かめる方法はあります。「去年の特定の1日の、時間帯別の明細を出せますか」と聞いてみることです。合計は出るのに明細が出ないなら、生データはもう残っていません。

「必要になったときに、まとめて出してもらえばいいと思っています」

そのときには、もう残っていない可能性があります。この種のデータは、失われたことに気づくのが必ず後になるという性質を持っています。気づくのは「去年と比べたい」と思った瞬間で、その時点で対処の余地がありません。

逆に、いま外へ出しておけば、使うかどうかは後から決められます。取っておくことのコストと、失うことのコストが釣り合っていません。

「いまの集計をいったん止めないと、切り替えられません」

止める必要はありません。いまの集計と並行して動かし、両方の数字が一致することを確認してから切り替えていただく——ほとんどの企業がこの順序で進めています。

一致を確認する過程そのものにも意味があります。ズレた項目は、その店の運用が本部の想定と違っているところです。切り替えの前に、どの店の何がずれているのかが分かります。

料金と、導入までの流れ

TEAL BIの料金は1店舗あたり月額8,000円(税抜)だけです。初期費用・導入費用・連携費用はいただいていません。この記事で挙げた過去データの取り込みも、日次の店舗別集計も、売上・人件費の予実も、すべてこの中に含まれます。詳細は料金ページをご覧ください。

導入の流れは、いまお使いのPOSレジと勤怠システムの構成をお聞きするところから始まります。すでに接続実績のあるものであれば、やり取りは短く済み、約1週間で稼働を開始できます。掲載していないものが混ざっている場合も多くは連携可能で、その際はメーカー様との打ち合わせのうえ新規の連携開発を行います。期間の目安は1か月程度です。いずれの場合も月額8,000円のままで、連携のための費用はいただきません。

保存期間が心配な場合は、稼働開始を待たずにご相談ください。まず何がどこまで残っているかを確認するところからお手伝いします。

画面と機能をひととおりご覧になりたい場合は、サービス紹介資料(全10ページ)をご請求ください。フォームのご入力後、その場でダウンロードいただけます。

よくあるご質問

Q. POSの生データの保存期間は、どこで確認できますか?

製品と契約の内容によって違うため、まずはご利用中のメーカー様にご確認いただくのが確実です。目安として「去年の特定の1日の時間帯別明細が出せるか」を尋ねると、実際に何が残っているかが分かります。

Q. 過去のデータをさかのぼって取り込む費用はかかりますか?

いただいていません。月額8,000円(税抜)に含まれます。導入した初月から前年対比を見られる状態で始められます。

Q. どこまで過去に遡れますか?

POS側に残っている期間までです。ここだけは後から増やせないため、まず何がどこまで残っているかを一緒に確認しています。本部に溜まっているCSVがあれば、それも取り込めます。

Q. POSを入れ替える予定があります。前年対比は途切れますか?

入れ替え前にデータを取り込んでおけば途切れません。TEAL側に蓄積されるため、POSが変わっても本部の数字は続きます。入れ替えを検討している段階でご相談いただくのが最も確実です。

Q. メーカーからデータを出してもらう交渉は必要ですか?

すでに接続実績のあるものであれば、新規の交渉は不要です。掲載のないものが混ざっている場合は、メーカー様との打ち合わせのうえ新規の連携開発を行います。その費用もいただいていません。

Q. 集計済みの数字だけを保存しておくのでは駄目ですか?

後から見方を変えられなくなります。集計は生データから作れますが、逆はできません。時間帯別や商品別で見直したくなったとき、生データがなければ答えが出せません。

Q. ネットワークにつながっていない店舗があります。

CSVのアップロードで統合対象に含められます。自動取得の店舗と同じ表に並びますので、一部の店舗だけ集計から外れることはありません。

TEAL BIについて

TEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。複数の飲食企業で本番稼働しています。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。

いま何店舗でどのPOSをお使いか、勤怠システムは何をお使いか。この2つをお聞かせいただければ、稼働開始までの流れと期間の目安をお返しします。いま何か月ぶんがさかのぼれる状態にあるのかも、構成をお聞きすればお答えできます。

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執筆:斉田 教継((株)ラックバッググループ / (株)ティールテクノロジーズ 代表取締役)
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」の事業を主導する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。

投稿者プロフィール

斉田 教継株式会社ラックバッググループ 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
斉田 教継(さいだ のりつぐ)
株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役
株式会社ラックバッググループ 代表取締役
20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。現在は飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」を運営する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。