【結論】
売上速報がなくならないのは、担当者の手際が悪いからではありません。POSごとに数字の出方が違い、レジ締めのミスを人が直し、予算と前年をまた別のファイルから貼っている——この3つが毎朝重なるからです。ここを自動化すると、速報は「作るもの」から「翌朝そこにあるもの」に変わります。ある直営12店舗の企業では、1か月あたり106時間・人件費20万円分の集計作業がなくなりました。
【この記事でわかること】
・なぜ売上速報のエクセルだけが、いつまでも自動化されないのか
・「毎朝30分」の集計が、会社全体では何時間になるのか
・翌朝そろっている速報に、実際に何が載っているのか
・エクセルを捨てずに、速報づくりだけをやめる方法
・料金と、導入までにかかる期間
その速報、誰かの休みの上に成り立っていませんか
多店舗の飲食企業には、ほぼ例外なく「売上速報」があります。前日の全店売上を1枚にまとめて、朝のうちに経営陣と店舗へ配るあれです。
そして、ほぼ例外なく誰かが手で作っています。POSの管理画面から日計をダウンロードして、店舗ぶん貼り付けて、前年と予算の列を別ファイルから持ってきて、合計を検算して、PDFにして、メールかチャットに流す。
ここで問題になるのは作業時間そのものより、この作業が「毎日・朝いちばん・落とせない」という三重の制約を持っていることです。担当者が休むと速報が止まる。だから土日祝も誰かが出る。月初と連休明けは特にきつい。実際、速報のために休日出勤が常態化していた企業を何社も見てきました。
本部の集計担当は、たいてい会社でいちばん数字に強い人です。その人の時間が、毎朝いちばん頭が冴えている時間帯に、転記と検算で消えている。これが、多店舗飲食企業でもっとも高くついている作業です。
売上速報だけが自動化から取り残される、3つの理由
会計も勤怠も仕入もシステムを入れているのに、速報だけがエクセルのまま残る。これには理由があります。
理由1:POSごとに「売上」の定義が違う
複数ブランド・複数業態を持っていると、POSレジのメーカーはたいてい混ざります。M&Aで増えた店、居抜きで引き継いだ店、業態に合わせて入れ替えた店。それぞれのタイミングで、そのとき最良と思われたPOSが入っています。
そしてメーカーが違えば、集計のルールが違います。値引きを売上から引く前に出すのか後に出すのか。サービス料と席料をどこに入れるのか。金券の扱い。テイクアウトの税率。同じ「純売上」という言葉でも、POSが違えば中身が違います。
だから速報を作る人は、POSごとに違う整え方を頭の中に持っていることになります。この「頭の中のルール」がエクセルの数式として固定化されると、もうシステム化の話が出ても動かせません。誰も全部を説明できないからです。
A社のPOS
- 値引き控除後
- サービス料売上に含む
- 金券売上に含む
- 税内税表示
B社のPOS
- 値引き控除前
- サービス料別建て
- 金券入金扱い
- 税外税表示
C社のPOS
- 値引き種別で分岐
- サービス料席料と合算
- 税業態別に混在
- 返品当日相殺
同じ「純売上」という列名でも、中身が違えば足し算はできません。速報の担当者は、この違いを頭の中で毎朝そろえています。
理由2:レジ締めと開局のミスを、人が毎回直している
速報づくりでいちばん時間を食うのは、実は転記ではなく「昨日の数字がおかしい店」への対応です。
- レジ締め直後に誤って開局してしまい、翌日の売上に前日分が混ざった
- 閉店後の締めを忘れ、翌日にまとめて締めたので2日分が1日に乗った
- 締めをせずに2営業日走ってしまった
どれも珍しい事故ではなく、店舗数が増えれば毎週どこかで起きます。POSの日計集計は「締めた時点」で確定するため、締めがずれると日計もずれます。本部の担当者はそれを見つけ、店舗に電話し、正しい日付に振り替えてから速報に載せます。
これは日計集計を前提にしているかぎり、避けられません。逆に言えば、日計ではなく取引データ(伝票の1本1本)から集計すれば、この作業はまるごと消えます。取引データには本来の営業日と時刻が記録されているからです。
日計集計を使うと
- 事象締め直後に誤って開局した
- 結果翌日の日計に前日ぶんが混ざる
- 対応本部が気づき、店舗に電話
- 対応正しい日付へ手で振り替え
- 影響毎週どこかの店で発生する
取引データから集計すると
- 事象締め直後に誤って開局した
- 結果伝票は本来の営業日と時刻を保持
- 対応正しい営業日へ自動で振り分け
- 対応本部の作業なし
- 影響締めのミスは集計に響かない
理由3:予算・前年・着地が、それぞれ別の場所にある
速報が速報として役に立つのは、「昨日いくらだったか」ではなく「予算に対してどうか」「去年と比べてどうか」「このままいくと月末はいくらか」が並んでいるときです。
ところが予算は経営企画のファイル、前年はPOSの別画面か去年の速報ファイル、着地見込みは担当者の暗算か手作りの計算式。3つの出どころが違うので、貼り合わせる工程が毎日発生します。そして貼り間違いが起きると、冒頭の「その数字合ってますか」が始まります。
いまの朝(人が作る速報)
- 7:30POSごとに日計をダウンロード
- 8:00数字がおかしい店を洗い出し、店舗へ確認
- 8:40営業日を手で振り替えて貼り直し
- 9:10予算・前年を別ファイルから転記
- 9:40合計を検算してPDF化・配信
- —担当者が休むと、速報も休む
自動化後の朝
- 夜間取引データを自動で収集
- —営業日は取引データの記録どおりに確定
- —POSの違いは統一フォーマットで吸収
- —予算・前年・着地見込みが同じ画面に同居
- 出社時速報はすでにそこにある
- —担当者が休んでも、速報は出る
「毎朝30分」は、会社全体では何時間になるのか
速報の作業時間は、担当者ひとりの体感では「30分くらい」と言われることが多いものです。ところが実際に棚卸しすると、本部の集計だけでなく、店舗側の入力・確認・報告まで含めた総量はまったく違う数字になります。
TEAL BIを導入いただいた直営12店舗の飲食企業では、店舗と本部で行われていたエクセル作業を削減した結果、1か月で106時間分の作業時間、金額にして20万円の人件費削減になりました。12店舗でこの数字です。
ここで注目していただきたいのは削減額そのものではなく、106時間が「経理担当1人分の月間労働時間の約3分の2」に相当するという点です。速報と会議資料づくりが、実質的に1人分に近い工数を占めていたことになります。
そして削減された106時間は、消えてなくなるわけではありません。数字に強い人が、数字を作る側から、数字を読んで手を打つ側に回れるということです。
店舗と本部から消えたエクセル作業
同じ企業での人件費削減額
この実績を出した企業の規模(直営)
106時間は、担当者1人分の月間労働時間のおよそ3分の2にあたります。速報と会議資料づくりが、実質1人分に近い工数を占めていたことになります。
翌朝そろっている速報には、何が載っているのか
「自動で速報が出る」と言われても、実際に何が載るのかが分からないと判断できません。TEAL BIの全店舗速報で、前日ぶんとして自動表示されるものを挙げます。
売上
- 昨日の時間帯別売上
- 当月進捗(店舗別・前年比・予算比)
- 客数・客単価
- 当月着地見込(前年比・予算比)
仕入・原価
- 当月の仕入進捗と予算比
- 納品伝票の未受領残高
- 科目未付与の残高
- 店舗別FL利益(当月累積)
人件費
- 昨日の人件費/当月累積
- 人時売上高
- 設定%と金額値
- 当月の着地見込み額
異常の検知
- レジ監査
- VOID金額・VOID回数
- 30分毎の売上・滞在人数・座席稼働率
- 店舗別の比較グラフ一式
ポイントは、速報が売上だけで終わっていないことです。前日の人件費と仕入が同じ画面にあるので、「売れたのに利益が残らない」の原因を、その日のうちに当たれます。月末を待つ必要がありません。
またレジ監査とVOIDが速報に同居しているのも、手作業では再現しにくい部分です。売上が正しいかどうかを、売上と同じ画面で確かめられます。
エクセルは捨てなくていい。やめるのは「速報づくり」だけ
速報の自動化を提案すると、かなりの確率で「うちはエクセルで細かく作り込んでいるので」と言われます。もっともな懸念です。
ここで切り分けたいのは、エクセルの「集計」と「加工」はまったく別物だということです。
- 集計(POSから落として、貼って、営業日を直して、合計する)……毎日発生し、間違えると信頼を失う。ここを自動化します
- 加工(自社独自の指標、役員向けの体裁、取締役会の資料)……その会社の考え方そのもの。ここは残してかまいません
やめる = 集計
- POSから落として貼る
- 営業日を手で直す
- 予算・前年を別ファイルから転記
- 合計を検算する
毎日発生し、間違えると数字の信用を失う
残す = 加工
- 自社独自の指標づくり
- 役員向けの体裁
- 取締役会・銀行向けの資料
- 仮説を立てて掘る作業
その会社の考え方そのもの。手放す必要はない
いま使っている管理表の体裁が大切なのであれば、その管理表を1ページの固定ダッシュボードとして画面上に再現することもできます。KPIの数や粒度、役職ごとの見せ分けによって料金が変わることはありません。
既存の売上管理システムを止める必要もありません。並行して動かしたまま、数字が一致することを確認してから切り替える——実際、ほとんどの企業がこの順序で進めています。
よくある誤解
「店舗数が少ないので、手作業で足りています」
店舗数が少ないほど、速報づくりは特定の1人に集中します。10店舗なら10店舗ぶんを1人で回せてしまうため、かえって属人化が進みます。その人が辞めたときに、速報の作り方を誰も説明できない、という相談は少なくありません。
また店舗数が少ない段階のほうが、POSの構成が単純で、導入も検証も速く終わります。混ざり切ってから手を付けるより、はるかに楽です。
「POSメーカーの本部システムに速報機能があります」
あります。そしてそのメーカーのPOSが入っている店舗については、よくできています。問題は、他社のPOSが1台でも混ざった瞬間に、その本部システムの外に出てしまう店が生まれることです。
結果として「A社の本部システムの画面」と「B社の管理画面」と「それを合算するエクセル」の三段構えになり、いちばん下のエクセルが消えません。速報のエクセルは、たいていPOSの境目に生えています。
「速報は概算でいい。確定は月末に出るので」
この考え方だと、速報の数字と月末の確定値がずれたときに、誰も原因を追えません。「速報は概算だから」で片づけているうちに、現場は速報を見なくなります。見られない速報を毎朝作り続けるのが、いちばん高くつきます。
取引データから集計していれば、速報の数字はそのまま月次につながります。速報を疑う理由がなくなると、会議の議題が「数字は合っているか」から「なぜそうなったか」に変わります。
料金と、導入までの流れ
TEAL BIの料金は1店舗あたり月額8,000円(税抜)だけです。初期費用・導入費用・連携費用はいただいていません。速報も、この記事で挙げた分析も、管理表の再現も、すべてこの中に含まれます。詳細は料金ページをご覧ください。
導入の流れは、いま使っているPOSレジの構成をお聞きするところから始まります。すでに連携実績のあるPOSであれば、やり取りは短く済みます。掲載していないPOSでも多くの場合は連携可能で、その際はメーカー様との打ち合わせのうえ新規の連携開発を行います。期間の目安は1か月程度です。いずれの場合も月額8,000円のままで、連携のための費用はいただきません。
よくあるご質問
Q. 速報は何時ごろに出そろいますか?
前日ぶんのデータを夜間に自動収集し、翌朝の出社時点で表とグラフの両方が表示された状態になっています。担当者が何かを起動したり、集計を実行したりする操作はありません。
Q. レジ締めや開局のミスがあった日は、やはり手直しが必要ですか?
不要です。TEAL BIは日計集計ではなく取引データ(伝票の1本1本)から集計しており、取引データは本来の営業日と時刻を保持しています。締めのタイミングがずれても、正しい営業日に自動で振り分けられます。
Q. POSレジのメーカーが店舗ごとに違いますが、1枚の速報にできますか?
できます。各POSの生データを業界統一フォーマットへ変換・統合したうえで表示しているため、メーカーが混在したまま、同じ基準で全店を並べられます。POSレジを入れ替えていただく必要はありません。
Q. 予算や前年の数字も速報に載せられますか?
載せられます。売上・仕入・人件費の予算値を登録でき、日次の予実管理が自動で表示されます。前年・2年前との対比、当月の着地見込みも同じ画面に並びます。
Q. いま使っている売上管理システムを止める必要はありますか?
ありません。並行して運用し、数字が一致することを確認してから移行していただけます。
Q. エリアマネージャーには全店の速報を見せたくないのですが。
「自店舗」の画面では、その方の担当店舗だけが並びます。役職や担当範囲に応じた見せ分けができ、そのことで料金が変わることはありません。
Q. 過去のデータも取り込めますか?
POSに残っている範囲であれば取り込めます。前年対比を最初から使いたい場合に有効です。取り込める期間はPOSメーカーとご契約内容によって異なりますので、個別にご相談ください。
TEAL BIについて
TEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。
いま速報にどれくらいの時間がかかっているか、POSの構成はどうなっているか——その2つをお聞かせいただければ、導入までの流れと期間の目安をお伝えします。




