多くのPOSレジを併用することにより弊害が発生
飲食業界のPOSレジのデータ集計は、過去はシンプルな仕組みでした。POSレジはたいていハードウェアで作られていたため選択しもあまりないため、たいていは1種類のPOSレジメーカーを選んで使いデータ集計は容易に行えていました。しかし近年はPOSレジはソフトウェアとして開発されるようになり、ハードウェアとしてのPOSレジよりも開発のハードルが下がってきたため、iPadなどのタブレット端末を活用したクラウド系のPOSレジが数多く発売されるようになりました。バリエーションが豊富になったため、企業側も多くのPOSレジを業態に合わせて試しに導入するケースが増え、結果的に1企業内で多くのPOSレジが併用される状況が増えてきました。
各POSレジメーカーのフォーマットはバラバラ
それと同時に新たな問題が出てきました。各POSレジメーカーは基本的にはどこかのPOSレジを模倣することなく、どのメーカーも独自の基準で作られているため、データフォーマットの持ち方や集計の方法がバラバラになっています。それらバラバラのPOSレジのデータを一つにまとめて集計するのが非常に困難になっています。
これらのPOSから簡単に集計ができる方法は、1日の営業終了後にレジ締めで集計される、いわゆる「日計集計」の値を集める方法です。POSレジのフォーマットや集計ルールがメーカーごとに異なっていても、1日の集計で得られる数字は一つですので、どんなPOSを使っていても1日集計のデータは簡単に取れます。
一方で難しいのが、1オーダーずつの取引データである「トランデータ」を、異なるPOSレジメーカー全て、統一したデータとして集計することです。トランデータとは、POSレジ上で記録される取引のデータのことで、お客様の注文の一つ一つ、お会計伝票の一つ一つのデータです。
これらの集計がなぜ難しいのかというと、どのPOSレジも取引変更の登録方法やデータベースの構造、データ自体の解像度など、計算ルールなど、多くの点で全く異なるからです。よって、トランデータの粒度レベルで全POSレジメーカーのデータを取得しようとすると、それぞれのPOSレジメーカー毎に彼ら独自の仕組みそのものを解読する必要があるからです。
なぜトランデータで取らなければならないのか?
集計データではシンプルな売上情報しか取れません。細かな分析はトランデータからデータを抽出する必要があります。特に1グループ(=伝票)毎の、メニュー出数、売上、グループ客単価、併売分析などは、伝票1枚ずつデータを取得しない限りできない分析です。
店内の滞在人数を30分単位で見ることも可能です。日計集計や時間集計のデータでは会計人数を見ることができても時間帯別の滞在人数まで見ることはできません。滞在人数を見るには1伝票単位で何時何分に入店して、何時何分にお会計したかを一つずつ記録する必要があります。
要するに、1日の営業の中でどの時間帯でどのようにお客さんが滞在していて、どのように消費しているのか?の動きを細かく追えるのようになるためには、トランデータを使って分析しなければなりません。しかし、ほとんどのPOSレジから出力できるのは1日の集計データ(日計集計)と1時間ごとの売上、客数、客単価などのシンプルなデータのみです。
細かな分析をしてみたいと思っても、希望通りの細かなデータを、POSレジメーカー側のダッシュボードで、1日集計や1時間集計にまとめてくれている例は稀です。なので、伝票毎の細かな分析をするには、トランデータレベルでデータ取得をして、かつ全POSレジの仕組みを解読して、統一したフォーマットに集計する必要があります。
TEAL BIでは多くのPOSメーカーのトランデータの集計に成功
TEAL BIでは、これまでの業界では誰もやってこなかった、この難題を一つずつクリアし、現在では下記のPOSレジのトランデータを集計し、統一したフォーマット化に成功しています。データの項目が足りないPOSメーカーもありますが、その場合は、メーカー側に必要最低限としての追加のお願いをしています。
そのデータの正確性が最も重要です。毎日、POSレジで集計される日計集計と、我々が解読し集計したトランデータの集計値に誤差がないかどうかを確かめるため、検算表の中で集計結果を表示しています。
このことが副次的な効果も生み出しています。レジ締めやレジの開局をミスした日の売上集計は、通常は正しく集計できず、財務会計でも管理会計でも集計に混乱が生じ、店舗の現場も本部も多くの無駄な時間が割かれますが、TEAL BIではトランデータから自動で1日合計値が集計されていますので、そちらを代わって利用することが可能になります。
投稿者プロフィール
- 新卒で産業機械メーカーに就職。インドで単独での市場開拓を経験。その後、ドイツ商社、外資系生命保険会社で経験を積み、2007年にラックバッググループ共同創業。飲食企業経営をしながら、2020年、飲食業界向け売上管理&分析システムTEAL BIを立ち上げる。飲食経営者兼、飲食業界DX開発者でもある。
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