売上を伸ばす努力より、コストコントロールが重要なわけ

売上アップは他力本願

最小単位部門ごとに売上とコストを日次管理するアメーバ経営の管理ができないと飲食店では利益は出せません。さらに言うと、売上を伸ばすことよりもコストコントロールが重要です。

なぜコストコントロールができないと儲からないのでしょうか。飲食店で利益を出す方法は、売上をアップさせること、コストを正しくコントロールすることに分けられます。両方重要ですが、もうかっていない多くの店舗では、どちらかというとコストコントロールが後回しになり、売上をアップさせる施策のほうが優先されているケースが多く見られます。しかし、これだと利益は残せません。売上は他力本願。一方で、コストは自分で管理できます。自分次第です。

売上は、そもそも、お客様がお店のことを気に入ってくれて、来店してくれるから売上アップにつながるわけです。お客様の感情が全てです。強引にその気持ちを買うことはできません。なので、いくら頑張ってお客様に気に入ってもらおうと新規来店施策やリピート来店施策を行っても、来店を決めるのはお客様です。強引に来てもらうことはできません。お客様の心をつかむ施策がヒットするかどうかはわかりません。最初は全く当たらなくても、PDCAをひたすら回して、だんだん確率を上げていくしかありません。要するに時間がかかり、お金がかかるものです。利益が出ていない店は、その施策をあれこれやっているうちに、資金が底をつきて閉店せざるを得なくなります。売上をアップさせることを優先させることはギャンブル的な施策になります。

コストコントロールは簡単

一方で、コストコントロールはすべて自分次第です。他力本願の要素は全くありません。今日から実践でき、今日から結果が出ます。自分がやるかやらないか、それだけです。でも多くの飲食店で後回しになってしまうのはなぜか?それは、多くの支出の集計、管理、分析の手作業が煩雑だからです。

コスト集計、管理、分析が自動になったら、だれでも今日から取り組めます。コストを正しく管理していけば、利益はすぐにでも出すことができます。もちろん、最低可能損益分岐ライン以下の売上しか出せていない店は、コスト管理だけでは利益は出せませんが。

飲食店はコストを正しく管理しないと利益を捻出できません。その中でも主に管理すべきは、人件費と仕入原価です。これを日次で把握してコントロールし続けないと利益は出ません。よくある事例では、売上は十分上がったはずなのに、利益額を計算してみると赤字だったというもの。

それ以外の経費は、店舗の現場での管理努力の割に金額的な効果があまりないものが多くあります。さらには現場では関係なく、元々の契約上決まっているものや、現場努力のしようのない経費が多くあります。水光熱費なども現場努力で削減できる範囲もありますが、一定レベル注意して無駄遣いしないようにする以上は、削減はできません。

人件費の管理ポイントは、売上に対して想定範囲の金額や%に収まっているかを管理することが重要です。どのレベルの人件費が妥当な数字なのかは業態ごと、立地店ごと、売上水準でも異なります。毎月の想定売上に対する、想定人件費を、話し合いながら綿密に決め、日次で売上推移と人件費推移を追いながら、月次着地値に常に目を光らせてなければなりません。

そのためには売上見込みの精度を上げないと、人件費の着地の精度も上がりません。仕入れ原価も同じです。事前に設定した理論原価通りに、売上の構成が成り立ち、理論原価通りに原価率が着地しているかのチェックが重要です。

日次でのKPI管理が必然

よって、月次ではなく日次で売上と人件費と仕入の予実管理を精度良くタイムリーに行うことが重要ですが、これを手作業でやってしまっては、店舗も本部も事務作業に追われ、そのコストが余計割に合わないという事態になります。当然、全自動で集計と表示までが行われないと意味がありません。

投稿者プロフィール

斉田 教継
斉田 教継株式会社ラックバッググループ 代表取締役CEO
新卒で産業機械メーカーに就職。インドで単独での市場開拓を経験。その後、ドイツ商社、外資系生命保険会社で経験を積み、2007年にラックバッググループ共同創業。飲食企業経営をしながら、2020年、飲食業界向け売上管理&分析システムTEAL BIを立ち上げる。飲食経営者兼、飲食業界DX開発者でもある。