「DXを贅沢品から経営インフラへ」 投稿者: 斉田 教継2025年12月27日2026年9月2日飲食業界のDX ――飲食企業が最初に見直すべき5つの問い―― ある中堅チェーンの社長と、初めてDXの話をしたときのことです。 「うちはそんなに大きな会社じゃないし、DXはまだ贅沢かなと思っていて…」 という言葉から始まりました。いろいろと話を聞いていくと、 店舗数は今後も増やしていきたい 人手不足はすでに限界に近い 店長の業務負荷も高く、長時間労働が当たり前 売上は伸びているのに、利益率は頭打ち という典型的な“成長の壁”にぶつかっていました。 そこで、私は逆にこうお聞きしました。 「この状態で、DXを『贅沢品』として棚上げしておく余裕は、本当にありますか?」 少しの沈黙の後、その社長は「…それはないですね」と静かに言いました。 1. DXを「コスト」ではなく「インフラ」として捉え直す 飲食企業が本気でDXに向き合うとき、最初の一歩は「捉え方のアップデート」です。 次の5つの問いを、自社に投げかけてみてほしいと思います。 情報システムを「コスト」ではなく「経営インフラ」として見ているか 「人件費の方が安いから」という理由で、DXを贅沢品扱いしていないか ベンダーだけでなく、「社内の特定の担当者」にロックインされていないか DXの荒波を受け止める“サンドバッグ役”としての役員スポンサーがいるか 「業務を変える前提」でSaaSやシステムを選べているか この5つの問いに、どれだけ自信を持って「YES」と言えるかが、DXの本気度を測る一つの物差しになります。 2. 「まだうちは早い」は、だいたいもう遅い >DXを「贅沢品」と捉えている間に何が起きるか。 競合は少しずつ、でも確実に「仕組み側」に仕事を寄せていく データの精度・スピード・粒度の差が広がる 店舗数が同じでも、利益率と生産性の差がじわじわ開く DXは、“一発逆転の魔法”ではありません。「仕組みへの移行スピード」の差が、数年後の差になるゲームです。 だからこそ、 「うちはまだ小さいから」「もう少し落ち着いてから」 という言葉が出ている時点で、実はゲームのスタートに、すでに出遅れている可能性があります。 3. ティールの斉田として、飲食DXに期待していること ティールテクノロジーズとして、私は「飲食DX=デジタル化」だとは思っていません。 お客様の体験をどう設計し直すか 店舗運営の前提をどう再定義するか 経営の意思決定を、どこまでデータドリブンにできるか そして何より、“人が人にしかできない働き方”に、どうリソースを振り直すか DXは、この一連の問いを避けずに、構造からやり直していくプロセスだと考えています。 4. まず「問い」を変えるところから始める すぐに巨大なプロジェクトを始めなくても構いません。でも、問いを変えることだけは、今日からできます。 「人とシステム、どちらが安いか?」ではなく、「この先5年で、何を“仕組み側”に移すべきか?」 「情シスに任せる」ではなく、「経営として、どこまでITとデータの責任を取るか?」 「SaaSに何を足すか?」ではなく、「どこまで業務をSaaSの標準に寄せられるか?」 こうした問いを、経営会議の真ん中に置いてもらうこと。 そこから、飲食企業のDXはやっと“本当のスタートライン”に立てると思っています。 TEAL BIについてTEAL BIは、(株)ラックバッググループが提供する飲食企業向けの経営データ統合ダッシュボードです。複数メーカーのPOSレジ・勤怠・仕入の各データを自動連携し、統一フォーマットに変換したうえで、店舗別・日次でFL比率・確定原価率・人件費の着地見込みを可視化します。グループ代表自身が20年以上にわたって飲食店経営の現場に携わってきた経験から立ち上げた事業で、現場の経営者が本当に必要とする数字が実装されているのが特徴です。導入相談・デモのご依頼は お問い合わせフォーム からどうぞ。 投稿者プロフィール 斉田 教継株式会社ラックバッググループ 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役 斉田 教継(さいだ のりつぐ) 株式会社ティールテクノロジーズ 代表取締役 株式会社ラックバッググループ 代表取締役 20年以上にわたり飲食企業の経営に携わる。現在は飲食企業向けデータ統合ダッシュボード「TEAL BI」を運営する。一般社団法人オープン・フードサービス・システム・コンソーシアム データ標準化分科会長として、業界共通POS標準フォーマット基盤の構築を主導。 最新記事 経営と現場2026年9月8日数字が読めるようになったことと、店が当たることは別の能力です|飲食業はクリエーションである 経営と現場2026年9月8日「現場が反対しているので進められません」と、何年言い続けていますか|心地良さは判断基準になりません 原価・仕入・棚卸2026年9月3日棚卸高は、店舗ごとにいくらが適正か把握できていますか|商品ごとの月数に直して、店舗と一緒に決める 原価・仕入・棚卸2026年9月3日売上が伸びていないのに、棚卸高だけ増えていませんか|棚卸高・売上高・確定原価率を重ねて2年分見る